「世にもあいまいなことばの秘密」川添愛(ちくまプリマー新書) | 乱読家ぽちんの独り言

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【『はじめに』より引用】

言語学の立場から眺めれば、私たちが発する言葉のほとんどは曖味で、複数の解釈を持ちます。しかし、私たちはなかなかそのことに気がつかず、自分の頭に最初に浮かんだものを「たった一つの正しい解釈」と思い込む傾向があります。世の中には、考え方が違いすぎるあまり、まったく対話ができない人たちがいることは確かです。しかしその一方で、ものの考え方はそう変わらないのに、言葉の解釈の違いだけで対立してしまうケースも少なくありません。SNS上のやりとりを眺めていて、「言葉のすれ違いさえなければ、この人たちはもっと分かり合えたかもしれないのに」と残念に思ったことは、一度や二度ではありません。

【引用終わり】


本書で扱う日本語の曖昧さは、「表記の曖昧さ」「普通名詞の曖昧さ」「修飾語と名詞の関係からくる曖昧さ」「構造的な曖昧さ」「並列による曖昧さ」「否定文・疑問文による曖昧さ」「代名詞による曖昧さ」などなど。


そんなこと、わかってますやん、、、と思う内容なのだが、コンピュータでの文字起こしや、自動翻訳、チャットGPTなど、人間の脳にとっては当たり前のことでも、コンピュータにとっては当たり前ではないなぁと気づくと、この本の必要性が見えてくる。



さて、対面でのコミュニケーションでも時々誤解が生じるのに、文字になると解釈の幅はさらに増えて、時には全く真逆の解釈になる時もある。


昔、とても仲が良かった人と「ある事」がキッカケになり、文字だけのやり取りをしていたら、いつの間にか相手に対しての疑心暗鬼がだんだんと強くなり、ある段階から怒りや恐怖感などのマイナス感情が互いに大きくなり、、、今でも憎しみの感情が深く残っている経験がある。


客観的な事実を伝える場合に限って言えば、文字のコミュニケーションは優れている。しかし、感情が含まれたコミュニケーションをする場合は、文字だけの情報は正しくは伝わらないので、やめておいた方が無難である。

感情を分かりあうには、やはり対面のコミュニケーションが必須だ。



「世にもあいまいなことばの秘密」川添愛(ちくまプリマー新書)

【6月23日読了】

【オススメ度★★★】