芥川賞作家で臨済宗住職の著者。
本書は、表題作を含む短編集です。
表題作の「桃太郎のユーウツ」は、ダライ・ラマのように遥か昔から継承され続けている「桃太郎」が、ユーウツな気持ちを抱えながら、正体不明の指令により正義(?)を執行するまでの話です。
正義は、ある一方の側から見ての正しさであり、逆の側(鬼)の視点から見れば悪である。
しかし、善悪の判断を求められていない桃太郎は、指示者の命令を執行するだけであり、テロリスト・暗殺者と変わらない。
そのモヤッと感が、主人公のユーウツの正体なのだろうと、僕は解釈しました。
「桃太郎のユーウツ」玄侑宗久(朝日新聞出版)
【2月28日読了】
【オススメ度★★★】