令和5年8月に読んだ25冊からのオススメの3冊です。
《令和5年通算196冊》
「100分de名著 ヘーゲル 精神現象学」斎藤幸平(NHKテキスト)
人類は「自由」を得ると同時に、意見や価値観の「対立」も強くなった。ヘーゲルの哲学的な出発点は、対立と分断を乗り越えて調和を生み出すにはどうすればいいのかにある。
共有可能な「正しさ」をつくっていく過程は、傷つきながら学び成長する過程であり、「今の自分を否定して、今の自分でないものになる」こと。
ヘーゲルの提唱した「弁証法」は、二つの矛盾する主張を統合する新たな知に至るための方法論。自分の知が否定される矛盾に耐えて考え抜き、悪いところは棄て、良いところを残しつつ、より高次の知を生み出していく(アウフヘーベン)。
信頼していない相手との議論は、どちらが勝つか、どちらが正しいかを決める為のものにすぎない。
相手を信頼して、互いの考えや立場の違いを承認しあって、自ら傷つくことを恐れずに、自分が変わることを恐れずに、相手との一致点を見出すことが、本当の民主的な議論なのだ。
「「自分の意見」ってどうつくるの?」平山町美希(WAVE出版)
著者がフランスで学んだ思考法。
①問いを立てる。
複数の答えがある大きな問いを立てる。
②言葉を定義する。
言葉の意味をはっきりさせる。
前提を共有する。
③物事を疑う。
考えるための余白をつくる。
前提を疑う。
④考えを深める
自分と対話する。
矛盾から解法を創造する「弁証法」
原因に着目する「分析」
複数の視点から掘り下げる「テーマ別」
他者と議論する。
自分と他者の思考タイプを知る
道具タイプ:効率で考える。
経済タイプ:コストで考える。
論理タイプ:論理の一貫性。筋道で考える。
良識タイプ:道徳や倫理で考える。
⑤自分の答えを出す
絶対的な真理を求めない。
その時点での結論を表明する。
出来るだけ言い切る形で主張する。
自分の答えに責任を持つ。
「世界史が苦手な娘に宗教史を教えたら東大に合格した」島田裕巳(読書人)
科学の進歩により、「死後の世界」を純粋に信じれなった現代を生きる我々。
しかし、少し前の世代の人達にとって、死は死後の世界の入り口であり、死んだ後の幸せも考えて生きていた。
この世の成り立ちと死後の世界を解く宗教世界は、現実世界の延長線上にあり、神仏に嫌われることは死後の絶望を意味し、それぞれの宗教の定めは絶対的であった。
ゆえに宗教は、経済や文化よりもはるかに社会への影響が大きかった。
歴史の教科書では宗教からの影響はあまり語られていないが、本来は宗教史は世界史と一体で学ばないといけないことであり、本書の内容は受験勉強にも人生の勉強にも役立つと思う。