「こころ」夏目漱石(新潮文庫) | 乱読家ぽちんの独り言

乱読家ぽちんの独り言

乱読とまち歩き、青山繁晴さんが好きなおじさんです。
コメント、フォロー、リブログはご自由に。
ただし、議論目的のコメント、意見の違いを尊重されないコメントは公開しません。



夏目漱石を読むのは何十年ぶりだろう。

ちょうど100年前に書かれた小説とは思えないぐらい、本書は読みやすく、物語に引き込まれていく。


「こころ」は、漱石の代表作の一つで、とても有名な作品なので、おおよその内容をご存知の方が多いと思うけれど、小説ゆえネタバレしない程度に感想を書くと、、、



本書のテーマは「自死」。

時に自己否定感の虜になりがちな僕は、人生の中で度々、「自死」を意識してきた。「死にたい」という気持ちになることが多い。


しかし、僕の「死にたい」という気持ちは「死ぬための覚悟」を伴ったものではない。なので、死ぬことは出来ないのだと、本書を読みながら思った。


「死ぬための覚悟」を持つためには、「生きるための覚悟」を持たなければならない。「命を繋いでいきたい」との生命体としての本能を超える「覚悟」が必要なのだ。


『葉隠』には、「武士道と云うは死ぬことと見つけたり」という一説があるが、武士道に生きた侍の中には、人のために死ぬことを厭わなかった方が多かったのだろう。


一人一人の人権が確保されて、自由に生きることが出来る現代社会だからこそ、人間は「生命体の本能」からは自由に生きることが出来なくなっている。

「生命体の本能」を超える「意志の力」を持つこと。それが本当の自由を持った人の生き方であり、私心を捨てて「人のために生きる」ことができるのだろう。


「こころ」夏目漱石(新潮文庫)

【3月23日読了】

【オススメ度★★★★