「Disobedience」の脚本 未公開シーンなど② | Some people change your life forever.

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キャロル、ケイト、ルーニー& レイチェル、ディスオビディエンス

未公開シーンとは別に、『映画のストーリー(感想やトリビアも)』という記事もアップしているので、
そこに★マーク(+番号)で未公開シーンが入る場面に印をつけています。
合わせてご覧いただくと分かりやすいかと思います。

 

 

未公開シーン


★4
-朝。ドヴィッドの家、キッチン。

 

朝食後のコーヒーを飲んでいるドヴィッドとエスティ。
エスティは、ロニートが昨晩くれたアート本を見ている。
そこには双子の子供たちのフォトジェニックな写真が載っている。

 

エ「これもう見た?」
ド「いや。」

 

パジャマ姿のロニートが現れる。
ド「おはようロニート。よく眠れたかい?」

ロニートもテーブルにつく。彼女に紅茶を注ぐエスティ。

 

ロ「あんまり。」

ド「今日はどうするつもりだい?シナゴーグを案内しようか?」
ロ「大丈夫よ。懐かしい場所を周ってみるわ。」

 

エスティは(学校へ持っていく)カバンを取出し、ドヴィッドへ話しかける。

 

エ「ねぇオセロ(シェイクスピア)を読んだことあるでしょう?
  シャピロ校長が、私が授業でオセロを子供たちに教えてもいいかあなたのOKをもらうようにって。」

 

ロニートは、エスティがわざわざ夫の許可をもらっていることに驚き2人を見つめる。


ド「オセロは素晴らしい戯曲だよ。教えてあげるといい。
  …ロニート、今日はどの辺りへ行く予定だい?」
ロ「グリーンバーグズ(カフェ)へ行ってケーキでも食べるわ。
  私たちの(昔いつも座っていた)テーブルで。あそこでよく一緒にこの町を逃げ出す計画立てたわよね。」

 

エ「…あなたの写真とても素敵だったわ。」
ロ「ありがとう。」
エ「自宅に暗室があるの?」
ロ「ええ、部屋を仕切って作ったの。」
エ「私の祖父の家にあった暗室を覚えてる?階段下の所で赤いライトを使って。
  写真が少しずつ浮かび上がってくるの。あそこの匂いが好きだったわ。」
ロ「すごく暑かったわよね。現像液の匂いで私たちハイになってた。」
ド「そんな話は知らなったよ。」

 

エスティは本の表紙を見る。“『 Identical 』 by ロニー・カーティス”

エ「カーティスってあなた結婚したの?」
ロ「いいえシングルよ。クーパーマン夫人。」

ロニートはエスティへ微笑みを見せ、全てが何事もないかのように明るく振舞おうとする。

 

エ「…ロニート、あなたも朝食を食べる?」

ロ「2人とも…ありがとう。その…父を大切にしてくれて。」
ド「ラビはいつも私のことを大切にしてくれてきた。
  …そろそろ行かないと。エスティ、準備は?」
エ「すぐに行くわ。」

ドヴィッドは先に出ていき、エスティとロニートは2人に。沈黙が包む。

 

エ「彼すごく動揺してるわ。」

ロニートは苛立ち見せる。
ロ「あなたは授業で戯曲を教えるのに、いちいち夫の許可が必要なの?」
エ「やめて、ロニート。」
ロ「ただの質問よ。」
エ「そうじゃなくて、その言い方よ。」
ロ「…ただ驚いてるの。古典文学よ、ポルノでもないのに…。」
エ「もう行くわ。」

 

 


★5
-ハートグ伯父の事務所。(ロニートは父ラビの家を売る件について伯父に相談に来ている)

 

ハ「向こう(NY)での暮らしはどうだい?写真で生計を立てているのか?」
ロ「何とかやってるわ。」
ハ「君がいなくなり、ラビはとても傷ついていたよ。」
ロ「…出て行けと言われたの。」
ハ「そう、イスラエルにね。ニューヨークじゃない。
  彼は君に飛行機のチケットも資金も渡しただろう。」
ロ「私は家の件について話をしたいの…。」

 

 

このシーンでは上の会話が一部カットされていたので書いておきました。


父ラビは、完全にロニートを見放したわけではなかったんですね。

 

ちなみになぜロニートは家を出ていくよう言われたのか… 
後の映画のシーンで分かるのですが、10代の頃からロニートとエスティはお互い愛し合っていた。
2人がベッドで寝ている所を父に見られ、2人の関係がバレてしまうのです。

 

厳格なユダヤ教では同性愛はタブーであり、父ラビはそのユダヤコミュニティの偉大な指導者でもある。
娘ロニートの行動は許されるものではなく、彼女の反抗的な態度もあり、ラビの怒りを買ったのでしょう。

さらに狭いコミュニティの中では、あっという間に2人の噂は広まったのだと思います。


父は、ユダヤ教の聖地でもあるイスラエルへ娘を送り、もう一度ユダヤ教の神の教えを学び直して考えを改めて欲しかったのでしょう。
エスティと離れ、彼女との関係を断ち切らせたい思いもあったのかもしれません。


しかし、ロニートは自由を求めニューヨークへ向かった。
彼女がとった父に対する、disobedience(不服従)な行動。。

 

 

続く…