「Disobedience」のストーリー(感想やトリビアも)② | Some people change your life forever.

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キャロル、ケイト、ルーニー& レイチェル、ディスオビディエンス

ここでは、映画のストーリーを細かく追いながら感想もちょこちょこ書いていこうと思います。
(トリビアや撮影裏話的なものもあれば。)

 

※盛大にネタバレありなので未見の方はお気をつけ下さいませ。

 

「Disobedience」の脚本(screenplay)もダウンロード出来たので、映画にはなかった未公開シーンなども別記事で書いております。


この記事では未公開シーンが入る場面に、★で印をつけておきます。

 

 

…①から続く


朝。既に着替えを済ませ、寝室のベッドにうつろな表情で座るエスティ。


隣で目を覚ました夫ドヴィッドはいつものように朝の祈りを唱える。

エスティは彼に近づきキスをする。情熱的なキス。
ドヴィッドはいつもと少し様子が違うエスティの行動に驚く。

 

帰郷したロニートへの想いを振り払うかのように…。
自分はもう結婚し、夫を愛しているんだと強く言い聞かせているように思えるエスティの行動…。


★4

 

ロニートは父が眠るお墓へと向かう。
その前では3人の若いユダヤ教徒の少年たちが本を持ち祈りを唱えていた。

 

ロニートは彼らが去るのを待つが、動こうとしない少年たち。
彼女はしびれをきらし、「私の父なの。」と言い、ようやく彼らは頭を下げその場を去る。

父か眠る地面を見つめ、彼の死を実感するロニート。。

 


エスティはドヴィッドと車に乗り、勤務する小学校まで送ってもらう。

 

エスティはラビの喪に服していた1週間休暇をもらっていたと思われます。

 

教室に向かうと、中では生徒たちが朝の祈りの歌を歌っている。
エスティは戸の前でその歌に耳をすませる。
彼女たちの歌に癒されるように微笑みを見せるエスティ。

その後「みんなおはよう。」と挨拶をしながら教室の中へ。

 

 

ドヴィッドはシナゴーグを訪れ、他のラビたちに挨拶をする。

彼らもロニートの帰郷を知っており、君の所に泊まっているのかと尋ねられる。

その後、図書室のような部屋で、ユダヤ教徒の若者たちに男女の性愛について本を読みながら勉強会を行っている。


ロニートはカフェに入り、アップル菓子など注文する。
窓際のテーブルにつき、一人寂しげな表情でケーキを食べている。

(未公開シーンの会話によると、このカフェは昔ドヴィッドやエスティとよく来ていたお店のようです。)

 

 

-ドヴィッドの家、寝室。
エスティはウィッグを外し、服を脱ぎ裸になりベッドへと入る。彼女の顔は無表情のまま。
そして彼とセックスを始める。


そこにはあまり愛は感じられなく、淡々と習慣的な行為をしているといった感じ…。

これも後で分かるのですが、毎週金曜日に夫婦はセックスを行うといった決まりがあるらしいのです。

 

 

-夜、リビングルーム
テーブルにはキャンドルが用意され、エスティとドヴィッドがその前に並んでいる。
そこへ、短いスカートに網タイツといった格好のロニートが現れる。

ドヴィッドは驚き呆れたような顔を見せる。
彼らはこの後、ハートグ夫妻の家に夕食へ招待されているのだ。

 

エスティはキャンドルに火をつけ、ヘブライ語で安息日の祈りを唱える。

そんなエスティをじっと見つめるロニート。

 

※ユダヤ教では金曜の日没から土曜の日没までをシャバット(安息日)といい、祈ること以外いっさいの労働が禁じられている。家事も車の運転も、機械を動かすことでさえしてはいけないそう。

 

(本当は男女が一緒に祈りを唱えることはないみたいです。祈りの場は男女別々にしなければならない決まり。)

女性は露出を控える、既婚女性はかつらを被る。未婚の男女は触れ合ったり一緒に歩いたり隣に座ってはいけないなど…。

ユダヤ教ではいかに女性が縛られ軽んじられているかが分かりますよね。

ロニートがこの暮らしに息苦しさを感じ、逃げ出したくなるのも当然のような…。

 

 

-3人はハートグ夫妻の家へ。
ダイニングのテーブルには3人とハートグ夫妻、さらにゴールドファブ夫妻が座っている。

厳かな雰囲気の中、伯父ハートグが食事の前の祈りの歌を歌い、「よき安息日を」という挨拶と共に、全員が小さなグラスに入れられた酒?を一斉に飲む。


食後、コーヒーを飲みながら楽しく話をしている彼ら。ロニートもそれなりに楽しそうに見える。

ゴールドファブ夫妻は自分たちの子供や孫たちの話をしている。

 

そして、ドヴィッドからロニートのアート本を見せてもらったと話す。

ゴールドファブ夫人は、なぜロニー・カーティスという名前を使っているのかと尋ね、“クルシュカ”という姓に誇りを持つべきだとロニートに言う。

伯母のフルマやエスティが、アーティストは名前を変えるもの、結婚したら女性は自分の名を捨て夫の名を継ぐんだから…とロニートをかばってくれる。

 

フルマが話題を変えるように、ロニートは亡き母親リアにそっくりだわと話す。
母リアは若くして亡くなり、今度は父親までも…とロニートに同情する伯父。

 

ロニートの母親はきっと彼女がまだ小さいときに亡くなったのかな。。
彼女がこの地を去る時、母親がいたらさすがに故郷を捨てるのは躊躇していたはずですもんね。


ロニートはここにいる間に父の家を売りたいと伯父に話すが、安息日にその話はやめるよう言われる。
後日オフィスでゆっくり話そうと彼女をなだめる。

ラビの家にある母親のキャンドル立てを持って帰りなさいとフルマ。

そしてそれは子供へ代々受け継いでいかなくては、とフルマやゴールドファブ夫人は言い、ロニートは「子供を産む気はない」と答える。

 

ロニートは苛立ち、また家を売る話を持ち出すも止められる。

話題を変えるように、叔父はドヴィッドがいつからラビの側で学んできたかと聞く。彼は13歳から弟子入りしているという。

 

ドヴィッドは近年ではこのコミュニティの中でも、住宅難や失業問題、そしてドラッグに手を出す子供たちもいると話す。

それなら子供を産む数を減らさなくちゃ、とロニートは皮肉を込めた発言をする。

そんな彼女にゴールドファブ夫人は「結婚はしてないの?結婚こそが正しい道よ。」と語る。

 

ロニートは、もしあのままこの町に残り、愛のない結婚をさせられ息の詰まる生活を送っていたら、きっと自殺してたでしょうねと、まくしたてるように声を荒げる。

エスティ以外のみんなは呆れたような顔で彼女を見る。

 

 

このシーンでのロニートを見るエスティの表情がいいんですよね~。

昔と何も変わらないロニート。

彼女の反抗的な態度に思わず笑みを浮かべたり、叔父叔母の発言に呆れロニートに同情しながらも、その空気を少し楽しんでいる感じもします。

コミュニティに従順に生きるしかなかった自分とは違い、彼女に羨ましさも感じているのかも。

 

ロニートの表情からも、あぁこの町はこういう所だった、あの頃と何も変わっていない…。

女性は結婚して子供を産むことが当たり前のように求められる、そんな古臭い慣習が残る場所、コミュニティ。

彼らに対する失望と、自分の行動は間違っていなかったという確信が窺えます。

 

場の空気はかなり気まずいものとなり、彼女は「もう失礼するわ」と立ち上がり礼を言い出ていく。

ロニートを送ってあげてとエスティに言われ、ドヴィッドも後を追う。

 

帰り道。ゴールドファブ夫人はなぜあんなに意地悪な言い方をするのかとロニートはドヴィッドに話す。

幸せな生活を送っているなら、それ以上に何を望むのか…。

 

ドヴィッドはロニートに君の望みは?と聞く。

彼女はただ、自分が父を愛していたということをちゃんと伝えたかった…と話す。

 

ドヴィッドはロニートの寂しさを理解し、慰めるように手で彼女を包み込む仕草をする。

本当は抱きしめてあげたいのだけれど、夫婦でない男女が触れ合うことはここでは禁じられているのだ。

 

その様子を少し離れた所からエスティが見ていたことにロニートは気付く。

 

 

次の日、ロニートは町のウィッグ専門店へと入っていく。

(既婚女性はウィッグをかぶる決まりがあるので、こういったお店は多くあるらしいです。)

 

鏡の前で黒髪のボブカットのウィッグを試すロニート。

しかし、彼女はウィッグを買いに来たわけではなく、このお店の2階にある叔父ハートグの事務所に用があったのです。先客があったのか、待ち時間の間にウィッグを試していたのでしょう。

もちろんこれもこのコミュニティに対する彼女の反抗心からかなぁと。

 

そして叔父から事務所へ入るよう呼ばれ、ロニートはウィッグを被ったまま向かう。

店員らしき女性がそれに気づき、小声で呼びかけるも彼女はそのまま部屋の中へ…。

 

例の、父の家を売る話をするために叔父を訪ねたのです。

彼もロニートのウィッグに気付き外すよう言うが、「敬虔な感じでしょう?」とロニートは皮肉っぽく言い外そうとしない。

 

★5

 

叔父はラビの家の鍵の束をロニートに渡し、自分の物など運び出すといいと言う。

そして引出しから書類を取りだし、そこに書かれてある遺言を読み上げる。

父ラビ・クルシュカは自分の死後、自宅と所持品すべてをシナゴーグ(ユダヤ教協会)へ遺贈する、と記していたのだ。

 

ロニートは驚きショックを受ける。

でも、たかが家だわ…となんとか平静を保とうとする。

 

せめて父親の最期を看取るべきだった、と話す叔父に、「病気だとは知らなかった」と応えるロニート。

叔父は「君がこの町にいないからだ!」と声を荒げる。

「君はラビの一人娘で、さぞ辛いだろう。…彼の許しを得られなかった。」

 

ロニートはこの言葉にさらに動揺し傷つく…。

 

 

-③に続く