史記「四面楚歌」(項羽の詩) | 明治書院

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力 抜 山 兮 気 蓋 世
時 不 利 兮 騅 不 逝
騅 不 逝 兮 可 奈 何
虞 兮 虞 兮 奈 若 何
 
【訓読】
力(ちから)は山(やま)を抜(ぬ)き気(き)は世(よ)を蓋(おほ)ふ
時(とき)利(り)あらず騅(すい)逝(ゆ)かず
騅(すい)逝(ゆ)かず奈何(いかん)すべき
虞(ぐ)や虞(ぐ)や若(なんぢ)を奈何(いかん)せん、と
 
【口語訳】
我が力は山をも引き抜き、我が意気は世を覆い尽くすほどだが、
時運が味方せず、愛馬の騅も進もうとしない。
騅が進もうとしない、どうしたらよかろうか。
虞よ虞よ、おまえを一体どうしてやることができようか。
(明治書院『精選 古典探究 漢文編』より)


史記「四面楚歌」
一代の英雄項羽の最期を描く劇的かつ悲劇的な箇所。
この詩から「抜山蓋世」という成語が生まれた。山をも引き抜くほどの力と世を覆い尽くすほどの意気、ということで、勇壮な気性の形容に用いられる。
 
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