２では、橙囲い囲い部の権現清水北西上方・中腹部西下の堀コ・サ周辺、そして竪堀コから郭1後背へ登り詰める。
小境城見取図（らんまる攻城戦記より引用・ブログ説明用にABを命名、橙加筆）
まずは、２－１丸囲い部。
竪堀コは主郭後背へ登り詰める搦手通路であるが、南尾根を大手ルートとすれば、下端からＡ段切口までは搦手・大手の共用通路になる。また、西に備えた防御線でもあると考える。城内側に塁線土塁を備え、さらに竪堀サで二重に備えている。
堀サは、下端と途中に段差を設け、その段差は下端は障壁、途中は城兵を溜める構造と私は考えている。捉えようによっては竪の塹壕ともいえるのではないか。そして、竪堀コを進む敵の背後に湧いて、挟み撃つことができる。
コ下端は通路として開口したままだが、サの下端は壁状で、城上方を目指す者にはわかり難い。わずかな凹みは雨烈であろう。
サ下端は、わかったとしても障壁状で、侵入は容易ではない。
景勝期の堀底通路に、障壁状の段差と、低い段差を、用途に合わせ設定している場合がある。
例：茶臼山城、椿沢城など。
下端雨烈から堀サ
堀サは後述。
くいっと折れた先に竪堀コ。
コは東（右）の城内側に土塁が沿い、塁線となる。防御ラインとして機能する。塁線構造と捉えれば、これは謙信期よりも新しく、景勝期の構造ではないか。
内側にもう１重、先の竪堀サがひかれている
しかし、竪堀サは途中に石列による段差が設けられ、また横幅が膨らむ部分がある。
城兵が移動、待機できたと考える。
武者溜まりであり、塹壕様機能をも兼ね備えていたのではないか。
石列段差
段差東
段差と横矢掛け陣地を相関させたところまでは発達していないのではないか。
ふくらみの上方段差
と、その上方にA段との接続。
上の段差上から竪堀サ途中の膨らみを俯瞰
サの東、堀シとの間の削平段B
竪サとA段の接続
石により造作されている。
埋土があと30cmもあれば、そのまま昇降は不可能で、段差により侵入者は撥ね返される。
A段東から竪堀サ接続部昇降口
逆四角錐台形ほど掘りこまれておらず、虎口とはせず、昇降口とした。
降りることは可能だろうが、昇るには容易に撤去できる梯子や階段等の昇降装置を設置したかもしれない。
A段から竪堀サ
竪堀サは、A段よりさらに上方から発している
あるいは、もう20mほど登り、右（東の）南尾根削平段に接続、山上郭２への接続したかもしれない。
A段東部（サより）
私は、11月と12月、竪堀シ上端をかすめ、南尾根に回り上った
竪堀シ上端をかすめ南尾根へ回り登りあがる（小境城３で）
竪堀シ上端は、サと異なり、石による段差の造作はない。
反転。
A段西部（サより）
先で竪堀コに沿う土塁が切れ、竪堀コとA段は接続している。
A段から竪堀サ（左）ーコ（右）間斜面を見下ろす
竪堀コーA段接続切口
写真不明瞭だが、現状は明瞭。
堀コの西やや上方から
堀コを下端から登ってきて、切口でＡ段に折れ入り、南尾根から郭2・1へ至る大手ルートと、堀コをそのまま直進し登り詰める搦手ルートの分岐ポイントか。当城の重要な関門にあたる。
堀コ下方
A段接続付近から竪堀コ上方
藪時は通行困難。
私はこの日（１１月）、よんどころない事情で堀ケから降下してきたが、きわめて苦難の道のりであった。
２－２竪堀コをA段接続付近から主郭後背へ登り詰めます
降雪期も足が埋まり無理（１２月）
４月
雪解直前は雪が固く、藪の上の雪上を歩行可能。
A段より上方は城内側に土塁は沿わない。
ところどころ倒木や緑が塞ぐが、11月の酷難を体験しているので、極上の道。
残雪の差は、あるいは堀底に段差が設けらているのかもしれない。
堀コは、Ａ段切口から約90m、下端から約177m上方で、堀オと結合する。
堀オは山上から降り降り、下端は左方（西）で堀ケ下端とも結合している。
堀オ下端
堀ケ下端と結合する。
堀ケは下端やや上から沢状。
堀ケは主郭後背最外堀で、山上からここまで降り下っている
沢の水量が往時多ければ、通行は難しいが、そうでなければ、山上へ登り詰めることができる。
また堀クも結合はしていないが、やや上方まで下っている。
山上堀ク底は郭利用されている。
★堀オ
堀コ結合部付近から上方
主郭後背から約100m降り降り下る。
城内の構造を知らない侵入者は、この堀オを登ることになる。
木付近で、降り下る堀カ・キがオに合流する
オの右側が山上主要部郭1。
合流やや下に窪がある。堀キーク間、堀ク底に伝うためのステップと考える。
堀キ・カ下端とオの合流部
しかし、侵入者が山上オ、カ、キ底に登り詰めても、城内には入ることができない。
山上堀オ
鋭く掘り込まれ、城内に入る（這い上がる）ことはできない。
頭上から迎撃を受け、追い落とされるのみである。
堀オ底（雪のない11月撮影）
這い上がることはできない。
東へ突き進むと、
堀オ底東端
ここに追い落とされる。
※堀底・東端・西竪堀降り下る写真は、２ではオのみ掲載し、他は３で掲載します。
西
登ってきた竪堀
★堀キ・カ
キ・カ下端オ合流部から
堀キ、カ合流部
ここも登り詰めても城内には入れない。
先のステップから堀クーキ間を伝い、クーキ間頂部へ登り詰め、堀クーキーカーオ間頂部ー郭１土塁頂部を架橋接続するしか、郭１へ至るルートを考えることができない。
書き込みなし
堀キーカ間から主郭方向
★堀ク
下端付近から堀ク
山上から約120m降り下る。
堀オ側面の窪付近は、ケーク間、クーオ窪間の堀込が緩く、あるいは相互連絡が可能であったかもしれない
登るにつれ掘り込みが深くなる
堀ク山上底は、広く、郭利用されている
城後背堀ク側には土塁伝いに登り、土橋で接続。
郭１（堀ケ）側は、壁で、やはり城内には入れないと思う。梯子を架ければ昇降可能だが、堀ケーク間を東下方（オ側の窪付近）から、伝い登り詰めたと考えている。
また、堀クは幅広く、架橋は無いであろう（当初は架橋と考えていた）。
★堀ケ
下方の沢始点付近
沢により、通行は険しくなる。
オ下端と結合しているが、登ることができたかはわからない。
沢の上は、しばらく緩い
標高585m付近から厳（いか）つくなる。
厳つくなる手前で堀ク底にトラバースすれば、山上堀ク底（郭利用）に至ることは可能である。
堀ケ山上を望む
２を書き終えて雑感
膨大な写真の駆使を試み、脳内ショート気味です。３は一週後２２日の予定で書いています。
２、膨大で恐縮ですが、一週間かけてご覧ください。