鎌ヶ岳城(長野県中野市大平山) | えいきの修学旅行(令和編)

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鴨ヶ岳城・堀サの南に構えられた一郭を鎌ヶ岳城という。 
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 鴨ヶ岳城の南を守る役割と、軍勢を屯集するスペースという意図があるようだ。 (郭No,堀切名は宮坂武男(2014)『信濃の山城と館8』に準拠)

 

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鴨ヶ岳城から南に下り、堀サの南に区画される一郭が鎌ヶ岳城 郭5になる。
 

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堀サは、いままで見てきた堀切とは様相が異なり、かろうじて堀とわかる痕跡程度。
鴨ヶ岳城側に遮断・防御といった意図はないようだ。
 
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鎌ヶ岳城域へ
鴨ヶ岳とは明らかに様相が異なる広い郭・郭5。
しかし、藪の予感。
 
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予感ではなく既に入っている。
未知の動物も生息していそう。
 
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このあたりに宮坂図では天水溜があるが…、捜索不可能。
 
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鎌ヶ岳城の看板
緑の雪に埋もれるよう。
 
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この先(南)に、塁線を成す堀シがあるはず。
しかし、絶対なんか居そうで、ためらいが…。
「出直して冬前に再度来るか。」
「あのきつい登り、また登るのか。」
「やだな。」  「行くか。」
「クーさんより凄いの居るんじゃないか。」
自問自答の末、背後に気配を感じつつも意を決っす。
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スマホで葛城ユキのボヘミアンを最大音量で鳴らして突入。
右方には両端を掘り下げた横堀セだが、この時点では諦め。
彼方に堀シ内側塁線発見。
足元は見ないように、あそこをだけに視点を据える。行けー。
 
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堀シ内側塁線石塁
 遠藤公洋は土塁内側にある整系の浅い凹みに注目し、曲輪辺縁の土塁を築く際に土砂をすき取って使用したと推測し、応急的な普請をした後、短期間で廃絶された城館に残されるかもしれないとしている(遠藤 2009,p.47)。
 
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きてよかった。
 
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これを見に来たんです。
 
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塁線の先に堀シ
 

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堀シは外側にも土を盛り塁線土塁を設けている。
この塁線構造は本能寺の変後に北信に進出した景勝の塁線とみてよいはず。
しかし機能がいまいちわからない。
 
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内側塁線西部石塁上
石塁左側に堀シ。
右側に諦めていた堀セ。
 
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両端を掘り下げた横堀セの南掘り下げ部
 
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セ横堀部 尾根下方(左)に土塁を設けている。上(右)には郭1の土塁
堀セを、遠藤は、わずかに緩い西側の尾根に設置した「土塁を伴う浅い堀」としている(遠藤 2009,p.47)
 
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セの北掘り下げ部
 
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堀シを西から
 
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ちょい降りて堀シ
底は箱状。
天正期(景勝期)上杉の堀。
 
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敵に向かって、石塁が強固に備える
 
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塁線は石塁で列線を揃えている。あるいは塀が設けられていたのではないか。

 遠藤は、天正12年と推定される書状(上越市史別編3010)で景勝が信濃の上杉家臣を統括する立場にあった上条宜順に塀のこと確認していることから、信濃の上杉城館に対し塀の設置を指示したと推定している。
天正期に入り10年ほどの間に上杉氏は「塀」という言葉で表される囲郭施設で城館を囲む傾向を強めていったとしている(遠藤 2009,pp.39-40)。
 

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箱底にも石

 落石ではなく、底を塞ぐとか、通路を限定するとか、なんらかの意図を持った造作と見る。松倉城平峰砦を思い出す。http://blogs.yahoo.co.jp/mei8812462/16519246.html

松倉城平峰の堀底石造作も天正期上杉の普請か。

 

 

 


 

 

 

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坂図では、堀シから南へ34m下方に堀スが描かれている。
 堀スは、遠藤が「土塁を伴う浅い堀」とする天正期上杉の特徴的な城館構造とし、さきに見た上方の巨大な堀切(堀シ)と土塁で区画した中心部(郭5)との間の緩斜面を囲い込む構造としている(遠藤 2009,p.47' 括弧内引用者)。
 
 

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笹の海に堀ス発見

 

堀スと書いたあたりが、乗り越す通路。
 
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線なし
土塁を伴う浅い堀。
 
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通り抜けて、堀ス・城内方向を振り返り見上げる。
緩斜面を囲っている。
二重の塁線を期待したが、写真では堀スのラインしかわからない。
 
いやしかし、いいだろう。
 
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あそこでひとり、探したのだから。
 
参考文献 宮坂武男(2014)『信濃の山城と館8』、戎光祥出版
       遠藤公洋(2009)「髻大城と長野県北部の城館遺構ー横堀遺構に着目した再評価の視点ー」、『市誌研究ながの』、第16号
       川西克造・三島正之・中井均編(2013)『長野の山城ベスト50を歩く』、サンライズ出版