論田山城(富山県旧大山町小見) | えいきの修学旅行(令和編)

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論田山城              イメージ 1
 常願寺側と和田川の合流点、論田山山頂部に築かれている。文献史料はない。上杉勢襲来の時の白米伝説がある。
 写真常願寺川上流の尖った山で、天正6年亀谷銀山が発見され、慶長以降は写真論田山の右奥一帯に移り、越中七かね山のひとつとして盛況を誇った。
 
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 論田山城は、郭における防御ではなく、黄線の切岸を防衛ラインとして構えています。切岸の奥まった地点に竪土塁状の土橋を設け、その前面の平場Gに寄せ手を集めます。西、南西尾根の間から寄せた敵は緩斜面を奥へ進み、虎口から切岸下のGに上がり、土橋から城内へ侵入する想定。Gは切岸下のキルゾーン、寄せ手を誘引し殲滅する強固な構えを見せている。
 切岸北辺には、寄せ手からは見えない位置に城兵が逆襲出撃、もしくは城内に撤収する際に利用できる道が隠れるようにあります。
 D-E間は、Eの城内側に土塁がなく、挟撃する造りにはなっていないが、主要郭群B3-B2-B1の南東面は塁線土塁が備えられており、B郭群に侵入するにはD-B3間の桝形様虎口から、B3郭に入り、突破していかなければならない。B1北東端は堀切3で遮断されている。原図では、その東方に高地と更に堀切があり、厳重に遮断され守られている。踏み込まなかったので略します。
 

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南西から寄せるとG下まで緩斜面で取り付けます。
城壁のよう。
 
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Gへの登り口
虎口下
 
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虎口はいるとG
右に切岸を登る土橋が目に入ります。
 
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ラインとして防御する切岸
この切岸を登ることは無理であろう。
土橋を蔦って切岸上に行くのは後ほど。
 
G左に切岸下を進むと、北辺に隠し道のような道があるので先にそちらを。
 
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虎口入ってGから左
ここからは見えないが、一段あがると切岸下北辺をまわりこめる。
寄せ手は頭上攻撃を受けるが。
 
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切岸北辺
隠し道が切岸うえに繋がる
うえの写真の一段高い地点からGを見ると、虎口-G-土橋がよくわかる
 
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虎口から切岸下Gに誘引され、土橋を突破するまで、切岸上から集中砲火を受ける
(4,5は佐伯哲也 越中中世城郭図面集の番号)
このキルゾーンに寄せ手は集められることになる
 
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線なし
 
では土橋を登り城内へ
 
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岸上から集中砲火を浴びながら、ここを登る。
私が寄せ手なら、その勇気はない
  
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土橋登った先 
D郭-E郭間は、寄せ手を集め挟撃するふうな感じではありません。
藪をかき分けE郭へ
 
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E2郭を対角に突っ切り、南東からみたE2郭
写真左側(南東)には塁線土橋を備える。
 
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E2郭南東面塁線土塁

 

 

 
D郭へ
 
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D郭
 藪でよくわかりませんが、B郭側がなかなかな切岸になっており、山頂主要郭B郭群よりも風あたりはやさしい気がします。居住区だったのでなはいでしょうか。
 
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D郭ーB3郭側の切岸
 D-E間を突破した敵は、主要郭群B郭南東面に寄せる。B郭南東面は塁線土塁を備える。
 
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主郭郭群B3郭コーナー土塁
 
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B2郭南東面塁線土塁
主郭郭B郭へ入るにはB3郭-D郭間の桝形虎口を経て折れて入る。
 
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藪ですが、D郭ーB3郭間の内枡形
 
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藪ですが、右に折れB3郭へ入る虎口
 
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B3郭
奥にB2郭 
 
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B3郭からB2郭への虎口
 
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B2郭東コーナー
 
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B2B3郭北面は切岸下に腰郭がある
こちらは攻撃を想定していない方面とおもう
 
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B2郭東にはもう一郭B3郭があり、その先は堀切3が遮断する。
 
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堀切3
 堀切近くに、クーさんの爪痕らしきものが刻まれた木があり、この先は踏み込みませんでしたが、原図ではこの先約50m先に高地があり、さらに2本の堀切でこの方面は念入りに遮断しています
 
 切岸を防衛ラインとした西面の守り、塁線土塁と虎口を重ね、東は堀切で遮断した主要郭群B3,2,1郭、コンパクトですがなかなかハイセンスな良い城です。構造的なレベルから、近代的な、おそらく江馬氏が天正6年に越中から退去する間際に近い時期の普請と思います。
 
 参考文献 佐伯哲也著 越中中世城郭図面集1 大山町中世城館調査報告書
               大山歴史民俗資料館企画展「大山の鉱山」 大山町史 中世江馬氏の研究
 
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