分子栄養学のススメ -29ページ目

分子栄養学のススメ

分子栄養学の確立者である三石巌によって設立された会社“メグビー”のブログです。

長い梅雨が明け、各地で猛暑が続いています。

今夏は、夏の風物詩と称されてきた花火大会や甲子園大会も早々に中止となり、また、子どもたちが楽しみにしていた夏休みも大幅に短縮されています。

高温多湿の夏になれば、日本の新型コロナも少し落ちつくのではないか、と見る向きもありましたが、現実はそう簡単ではないようです。

 

新型コロナウイルスに感染すると、平均して5~6日、最長で2週間ほどの潜伏期間を経て症状が現れます。WHOは、最もよくある症状として、発熱、空咳、倦怠感を挙げています。

新型コロナウイルス感染防止策の「新しい生活様式」では、定時の体温測定も推奨されていますので、多くの企業や学校が家庭での検温を求めているようです。

 

身体の状態を知る指標の一つになる体温は、病気の診断や経過を見るために欠かせません。この時期だからこそ、体温について正しい知識を持ち、正しく測定することが大切です。

●体温の生理的変動と調節機構

ヒトの体温は、通常36~37℃の範囲で保たれています。身体の深部で約37℃であり、皮膚温は平均して約34℃であることが知られています。

体温には、日周リズムがあり、早朝に最も低くなり、その後徐々に上昇し、夕方に最も高くなります(約1℃)。同じヒトの体温でも、測定する時間によって違いがあります。

また、運動や食事後も体温が上昇します。

 

私たちの身体は、体熱の産生放散のバランスをとって、体温を一定範囲に維持しており、そのシステムは間脳の視床下部にある体温調節中枢によってコントロールされています。

体温調節中枢は、脳の視床下部の前の部分にあたる“視索前野”という場所にあります。視索前野には温度感受性ニューロンと呼ばれる脳の温度をモニターしている神経細胞が存在しています。

●感染症と発熱

発熱は、体温調節中枢のセットポイント(基準値:約37℃)が、何らかの原因によって上昇し、体温が上昇した状態です。

体温調節中枢には、皮膚が感じる温度情報や内臓などの深部の温度情報が送られてきます。

また、細菌やウイルスに感染すると、細菌や炎症で死んだ細胞などが発熱物質を出し、免疫細胞が放出するインターロイキンなどのサイトカインが、プロスタグランディン(ホルモン様物質)の産生を引き起こし、発熱します。

 

●発熱による身体の変化

40℃の発熱は代謝のレベルを約60%増加させ、免疫活性を高めますが、一方で血液中の水 分が細胞内へ移行したり、発汗が増えたりして、血液の濃縮や脱水症状を招きます。

また、呼吸数や心拍数が増しますが、消化機能は低下します。高熱、脱水のために神経障害を生じたり、筋肉痛が起こる場合もあります。

このように、体温の上昇は、好中球の殺菌作用を強めたり T細胞の活性を高めたりして細菌の増殖を抑えるという効果がありますが、身体を消耗させるなど二面性を持っているのです。

●解熱剤の使用は慎重に

熱が上がり過ぎてよほど辛くなったときは別ですが、解熱剤の使用は、病状の理解を誤らせる場合や副作用もあるので、慎重にとされています。

三石巌著『医学常識はウソだらけ』(祥伝社黄金文庫)にも記載がありますが、解熱剤によって無理やり熱を下げるのは、身体の正しい反応を邪魔することになりかねず、体温が高い方が代謝レベルも高まることを考えると、むしろ解熱剤が身体の抵抗力を奪っている可能性もあるといえます。

発熱は「安静にしていろ」という身体からの警告だと考え、ウイルスとの戦いに全力を傾けている身体の邪魔をせず、協力してあげることが大切なようです。

平熱は個人によって異なりますので、日ごろから情報として自分の体温を知っておくことが大切です。また、日周リズムや身体活動によっても変化しますので、体温は毎日、ほぼ同じ時間帯に同じ条件で測定しないと比較の意味がないことも理解しておきましょう。

 

 

新型コロナウイルスの感染者数が毎日発表されていますが、検査数の違いや陽性率など何が正確な情報なのかわからない状況にあると思います。また、感染経路が分からない感染者が多くなり、市中感染が起きて、すぐ近くに新型コロナウイルスが迫ってきている様な気もします。

今回は収束しないこのコロナ禍で健康とは何か考えてみようと思います。


〇健康をレベルで考える

「病人にも健康があり、その「レベル」が低いだけです。病気になってもそうでなくても、健康レベルの低い日も高い日もあります。命のある間は健康があるわけで、死ぬときに初めて、健康レベルが、ゼロまで下がると考えることになります。

こう考えると、健康管理とは健康レベルを高めることであり、それも、極限まで高めるための努力である。と定義してよいのです。」

『分子栄養学のすすめ』より

と三石は書籍に記しています。

 

健康をレベルで考えることにより、健康というとても曖昧な言葉を可視化してくれたのではないかと思います。

 

それでは健康はどうやってチェックすればいいのでしょうか?

 

よく聞くのは「快食・快眠・快便」です。さらに風邪のひきやすさを加えた4項目が一般的と思います。

しかし、それだけで健康といえるのでしょうか?

 

コロナ禍で感染の有無以外に問題とされたのは、外出自粛による運動不足で筋力が低下したりやコロナ鬱などの心の問題です。

WHO憲章によれば、「健康とは病気や虚弱でないだけでなく、肉体的にも精神的にも社会的にも、完全に良好な状態にあることを意味する」とあるそうです。

 

三石はこのように述べています。

人間という動物は他の動物と違って大なり小なり何かの目的をもって過ごしています。その目的を果たすにあたって、幸福感を覚え、しかも、しんどいと思うことなく、すべてが快適にスムーズに進行するなら何も言うことはありません。このようなとき、私の言う健康レベルが高いとして良いでしょう。その最高値を極限までもっていくのが健康管理の目標だと受け取っていただきたいのです。

『分子栄養学のすすめ』より

 

〇分子栄養学で健康を考える

遺伝子の成り立ちは人によって異なる。まったく同じ遺伝子を持っているのは、一卵性双生児だけ。

タンパク質について考える場合、遺伝子の個体差を無視するわけにはいかない。それが遺伝子の指令によって出来上がっている以上、体内のタンパク質構造も一人ひとり異なっている。

一人ひとり遺伝子が違い、タンパク質に個体差があるなら、栄養素の摂り方もそれに応じたものでなければならない。

分子栄養学とは「個体差」の栄養学なのである。

『医学常識はウソだらけ』より


 

栄養相談の際に「私は何をどれくらい飲めばいいのでしょうか?」とご質問を受けることがあります。しかし、私たちは様々な栄養素の目安摂取量をお伝えすることはできますが、個体差を測ることはできないため、一人ひとりの必要量は示すことはできません。

 

遺伝的な弱点は人によって千差万別だから、どんな栄養素をどれだけ摂取するべきかは人によってまちまちである。

ビタミンの必要量にもかなりの個体差がある。AやEなどの脂溶性ビタミンで10対1、CやB1などの水溶性ビタミンでは100対1もの開きがある。

『医学常識はウソだらけ』より

 

と三石は書籍に書いています。

 

それではどうやって健康レベルを上げるための栄養素の必要量を見つければいいのか?

 

それはまず、自分の身体の弱点を知らなければなりません。自分自身の弱点がわからなければ、両親の体質が参考になると思います。

例えば両親が目の病気をしていると、自分も同じ弱点を持っていると考えられます。それが分かれば、弱点の克服に必要なタンパク質やビタミンA、ビタミンCなどを多く摂るように対策することができます。

 

健康の自主管理はけっして簡単なことではない。どんな弱点にはどんな栄養素がどれだけ必要なのか、正確な知識を身につけることが肝心である。マスメディアに氾濫する情報はそこまで面倒見てくれない。

専門的なことはむずかしくてよくわからないと敬遠せず、しっかり勉強する意欲を持ってもらいたいものである。

『医学常識はウソだらけ』より

 

近年、健康に関する情報が溢れています。

自分の健康レベルを上げるために正しい情報は何か選択できる知識を土台として持っておく必要があると思います。

コロナ禍で自分を守れるのは自分自身だけです。ぜひ、自分自身と向き合ってみてはいかがでしょうか。

 

 

 

 

 

眼は無意識のうちに酷使しています。

在宅時間が増えて、テレビやゲーム、映像コンテンツ(YouTubeなど)の視聴時間が増えたという方も多いのではないでしょうか。

私たちの眼は近くを見るときは近くにピントを合わせるため、毛様体筋に力が入り緊張状態になります。そのため長時間近くを見ていると毛様体筋に負担がかかり、眼が疲れます。

眼がゴロゴロしたりショボショボして、まぶたの縁に痛みや眼の奥が重く感じられることはありませんか?このような症状が慢性化すると眼精疲労やドライアイになります。

眼精疲労を放置すると全身の不調の原因にもなります。

 

●物が見えるしくみ

眼球は、眼に映る映像を脳に伝える役割をする感覚器です。

カメラにたとえると、角膜と水晶体はレンズ、その間にある虹彩は眼に入る光の量を調整する絞り、眼球の奥にある網膜はフィルムの役割をしています。

水晶体を支える毛様体筋という筋肉が伸び縮みし、水晶体の厚さを変えてピントを調節しています。

網膜に映った映像は、視神経を通じて脳に伝わります。

脳がその信号を処理してはじめて「眼が見えた」となります。

物は眼で見ているのではなく、脳で見ているのです。

 

●疲れ眼と眼精疲労

疲れ眼 と 眼精疲労 は同じものだと思われがちですが、実は違います。

大きな違いは、症状の重さです。疲れ眼 は、一時的な眼の疲れのことを言い、睡眠をとるなどの休息によって自然と解消されるため、身体への影響はありません。

一方、眼精疲労 は、眼痛・視力低下・肩こり・頭痛、イライラ感、吐き気など全身の症状が出て、継続的に繰り返されることになります。

ピントを調節する毛様体筋は自律神経によって支配されているため、眼を使い過ぎて毛様体筋が疲れると、自律神経のバランスが崩れて、全身に症状があらわれると考えられています。 


●ドライアイ

眼の表面を潤す涙は、外側から順に、油層・涙液層・ムチン層の3層構造からなっています。いずれかひとつでも不足して涙のバランスが崩れると、涙の安定性が低下し、眼の表面に定着しなくなります。ドライアイは、このバランスが崩れた結果として起こる状態です。

人は普段は1分間に20回まばたきをすることで眼の乾きを抑えています。

パソコンなどの画面を見ている時は、1分間に6回から7回しかまばたきをしないと言われています。

 

そこで、眼精疲労、ドライアイなどを改善するためには、栄養素の摂取と三石式「目玉の体操」がおすすめです。

 

●眼精疲労、ドライアイを改善する栄養素

眼の組織づくりには、良質タンパクビタミンB群ビタミンCビタミンAミネラル(鉄亜鉛マグネシウム等)などが必須です。

普段からこれらの栄養素に不足が起こらないよう摂取することで、眼の組織強化につながります。中でもビタミンAには、涙腺の分泌能を正常化する働きと潤い成分を保つ働きがあります。

 

眼の血流低下が起こると、細胞を新しく造り替える為の栄養や酸素が運ばれず、眼の細胞が弱くなり、さまざまな障害が起こりやすくなります。

血管強化の為には、良質タンパクビタミンB群(特にB6)ビタミンCミネラルなどが必要です。血流の確保には、ビタミンEも欠かせません。

ビタミンEは、強力な抗酸化作用により血液の中の過酸化脂質を作らせないように働き、血液の粘度を下げて血栓予防にも働きます。

 

眼は、紫外線による活性酸素の影響が大きく、これが眼の各細胞を変性(酸化)させて疾患の原因となります。

ビタミンCビタミンE植物ポリフェノールカロチノイドルテインアスタキサンチンなどは、特に眼に必要な抗酸化成分です。

 

●三石式「目玉の体操」※1日おきが原則です。

  1.  タオル等で眼を覆い、眼球が動かないようにその上から軽く手をそえる。 
  2. (無理のない程度に)力いっぱい上方を見るようにして6秒間その状態を保つ。
  3. 上下左右すべて行う。 
  4. 眼球をゆっくり大きく回し(左右2~3回ずつ)、眼筋を伸び縮みさせて、発生した乳酸 や二酸化炭素を 静脈やリンパ管に流す。 

 

上を向こうとする力とそれを阻止しようと手で眼球の動きを固定することで、眼筋を鍛えることができます。

筋肉が太くなれば、これを養う血管も太くなるため、眼球に供給される血流量が増加します。 

筋肉の本領は、収縮にあり、収縮力の大きい筋肉ほど強い筋肉、強い筋肉ほど太い筋肉です。筋細胞は特別な細胞で、生まれた後は分裂して増えることはありません。

そのため筋肉を太くするには、筋肉細胞内の筋原線維を構成するフィラメント数を増やす必要があります。

目玉の体操は、フィラメント数の増加によって筋肉を太くすることを目的としたトレーニングです。

  • 1回のトレーニング時間は6~8秒を推奨しています。
  • フィラメント数の増加には2日間ほどかかるため、1日おきが原則です。