コラーゲンが必要なのは皮膚だけじゃない!コラーゲンの働き | 分子栄養学のススメ

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コラーゲンと聞くとハリのある皮膚に必要なものと思われがちですが、実はコラーゲンは身体の中のタンパク質の1/3を占めています。

今回はコラーゲンの働きについてご紹介します。


コラーゲンとは

コラーゲンとは約1000個のアミノ酸が繋がったタンパク質の一種です。
このタンパク質の特徴の一つはトリプトファン・フェニルアラニンの2つのアミノ酸を含まないことです。また、グリシンというアミノ酸が飛びぬけて多いことも特徴の一つです。
コラーゲンはアミノ酸が繋がったポリペプチド鎖がらせん状に3本寄り集まった構造をしています。この構造がコラーゲン繊維の強度の基となっており、鋼鉄より強いと言われています。


コラーゲンは現在、Ⅰ型〜ⅩⅩⅨ型の29種類が発見されています。そのすべてがコラーゲン三本らせん構造を含んでおり、細胞外に存在しています。
そのなかでもⅠ型〜Ⅴ型が体内のコラーゲンの90%を占めています。

コラーゲンは結合組織の主成分のタンパク質です。
結合組織とは身体や臓器の支持、補強、結合、境界形成などの役目を持つ組織で、骨、軟骨、皮膚、腱などのように独立した組織として、また、心臓、筋肉、肝臓などの全身のあらゆる器官に存在して細胞を取り巻く環境を形作っています。
 

コラーゲンを飲んでも意味がない?
 

コラーゲンはアミノ酸がつながったタンパク質なので、口から摂取するとタンパク質分解酵素によってコラーゲンはアミノ酸やペプチドに分解され、吸収されます。
そのため、コラーゲンは摂取してもコラーゲンとして吸収されるわけではありません。コラーゲンとして使われなくても、体内でコラーゲンを作る材料としては使われます。
また、ペプチドの状態で吸収されたコラーゲン(コラーゲンペプチド)は線維芽細胞の増殖を促進すると報告されており、コラーゲンペプチドの経口摂取が全身の臓器の維持に働く可能性が示唆されています。
 

 

コラーゲンを身体の中で作るには?
 

コラーゲンは線維芽細胞、骨芽細胞、軟骨芽細胞、象牙芽細胞、線維随伴細胞などによって合成されます。また、上皮細胞や平滑筋細胞にもコラーゲンを合成する能力があると言われています。
コラーゲンを作るためにはタンパク質、ビタミンC、鉄などの栄養素が必要になります。
特にビタミンCはコラーゲンの3重螺旋構造を作るうえで重要な働きをしています。

 

加齢によるコラーゲンの変化
 

コラーゲンは線維と線維が架橋構造によって繋がることにより強度を保っています。
この強度が、弾力やしなやかさの基になっているのですが、加齢とともに皮膚や血管などが弾力やしなやかさを失う原因は架橋構造にあります。
コラーゲンの強度を保つ架橋構造は加齢とともに増加していきます。

架橋構造が増加することによりコラーゲンの弾力性が失われ、皮膚のしわやたるみ、血管が硬くなったり、骨が脆くなったり、軟骨は弱くなったりと身体全体で様々な障害が起こるようになります。
コラーゲンの劣化を防ぐためには、コラーゲンが滞りなく合成できるようにタンパク質、ビタミンC、鉄などの材料を準備しておくこと、加齢とともに増加する活性酸素をしっかり除去するためにビタミンC、ビタミンE、コエンザイムQ10、カロテノイド、植物ポリフェノールなどの抗酸化物質を摂取することが大切です。

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参考

 

 


〇Shoulders MD et al. Annu Rev Biochem 2009; 78: 929-958.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2846778/

〇藤本大三郎、コラーゲンの生化学-最近のトピックス.化学と生物. 23(8)496-502(1985)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/23/8/23_8_496/_pdf/-char/ja

〇野口知里ほか、20代から50代日本人女性における食事由来コラーゲン推定摂取量の特徴.栄養学雑誌. 70(2)120-128(2012)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/eiyogakuzashi/70/2/70_2_120/_pdf

〇生体内コラーゲンと代謝サイクル
https://ebn2.arkray.co.jp/academicinfo/collagen/anti-aging-02/