三石巌の書籍で、現在絶版して読むことができない物の中から、その内容を少しずつですが皆様にご紹介させていただきます。
糖尿病とはどんな病気か?
字の通りとすれば、糖尿病は尿に糖のでる病気ということになるが、その本質が「高血糖症」である。血中ブドウ糖値の高いことを特徴とする病気である。血中ブドウ糖値が低くても糖尿のでる場合がないではない。これを「腎性糖尿」という。
血糖は細胞のエネルギー源であるから、さまざまなホルモンが、血糖値を高める方向に働いている。アドレナリン、コーチゾン、グルカゴン、チロキシンなどがこれだ。これに対して、血糖値をさげるホルモンはインシュリンのみである。したがって、インシュリンの分泌が不足すれば、高血糖は不可避である。血糖値をさげるのには、インシュリンの注射、またはインシュリンの分泌を促進する経口血糖降下剤の服用がおこなわれている。血糖降下剤はいろいろだが、致命的な心臓発作をおこす恐れのあるもの、乳酸によって体液のペーハー値をさげるものなどがある。
糖尿病は全身の代謝を狂わせる。血管の障害が全身的におこるので、眼底出血や脳出血などがおこる。脂肪酸の不完全燃焼のために「アセトン体」が発生するので、顔色がさえない。
〔三石巌全業績−11 健康ものしり事典より抜粋〕