体力と健康は平行するか | 分子栄養学のススメ

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分子栄養学の確立者である三石巌によって設立された会社“メグビー”のブログです。

三石巌の書籍で、現在絶版して読むことができない物の中から、その内容を少しずつですが皆様にご紹介させていただきます。

 

体力と健康は平行するか

 体力とは、社会の変化に対応する能力だ、などといわれると、キツネにつままれた思いがする。生理学者ともなれば、体力には、行動体力と防衛体力とがあって、それぞれに、身体的要素と精神的要素とがある、という。だがしかし、体力の測定という場面になれば、そんなやかましいことは一つもない。要するに、反復跳び、立位体前屈、踏台昇降、伏臥上体そらし、閉眼片足立ち、握力、背筋力などを調べることになっている。
 体力とは、そういうものの総和なのだ。われわれの常識からすると、抜群の体力の持ち主は力士ということになるだろう。ところが、力士には、糖尿病患者、肝臓病患者などがめずらしくない。こんな病気があれば健康とはいえないわけだが、この一つの例を見ただけでも、体力と健康とは同じものではなく、平行するものでもないことがわかる。
 毎朝5キロのマラソンをかかさない60代の人が、2時間とデスクの仕事ができない、といったケースは少なくない。それも、体力あって健康に不足ありということだ。スポーツにはげんでいるのに風邪をひきやすいのは、運動不足の性ではないか、などという判断は正しくない。

〔三石巌全業績−11 健康ものしり事典(絶版)P239より抜粋〕