三石巌の書籍で、現在絶版して読むことができない物の中から、その内容を少しずつですが皆様にご紹介させていただきます。
炎症とはどういうことか
炎症が、何らかの破壊活動によっておこる性質のものであることは、常識でわかる。この破壊活動は、生体の細胞組織に対して加えられたものであって、「侵襲」とよばれる。侵襲が加わると、生体は、これに対して、修復や再生を持ってこたえなければ生命が危うくなる。この対応が「炎症」である。
この侵襲に対応する器官は副腎皮質であって、ここで「催炎ホルモン」をつくって血流にのせる。このホルモンが炎症をおこすのである。炎症がおきると、副腎皮質は、こんどは「消炎ホルモン」をつくって抑制をはかる。これはコーチゾンに代表されるステロイドホルモンだが、この量は不足がちである。そこで、ステロイドホルモン剤の投与となる。非ステロイド系消炎剤としては、アスピリン、タンパク分解酵素リゾチームなどいろいろなものがある。炎症の本質は生体防衛機構の一つなのだが、とかくゆきすぎの過剰防衛になる。それは炎症部位に集中する白血球が、「活性酸素」という名の毒物をつくるためである。それは組織を破壊するだけの力をもっている。
なお、活性酸素とは、文字通り活性化した酸素であって、ふつうの酸素分子のもつ電子軌道上の電子が数を変えたり位置を変えたりしたものである。活性酸素は除去しないと被害がひろがる。活性酸素除去物質は、いわゆる抗酸化物質に属する。やけどにビタミンEの塗布が著効をあらわすのは、それの活性酸素除去作用によるものであろう。
〔三石巌全業績−11 健康ものしり事典(絶版)P127より抜粋〕