三石巌の書籍で、現在絶版して読むことができない物の中から、その内容を少しずつですが皆様にご紹介させていただきます。
バターはやっぱりマーガリンか
動物性脂肪よりは植物性脂肪、というような考え方が、いつのまにか一部の人たちの常識になったようだ。フレッシュバターは動物性脂肪だから、それを敬遠してマーガリンバターにした、という話が日常的に聞かれるようになった。
本当に、マーガリンバターはフレッシュバターに比べて格段に好ましいものだ、といえるのだろうか。
まず、マーガリンバターの原料の、全部とはいわないまでも、一部は魚油である。魚油は高度の不飽和脂肪酸であるから、これに水素を添加して、低度の不飽和脂肪酸に変えれば、植物油に近いものになる。
植物性脂肪は、多かれ少なかれリノール酸をふくんでいて、それが、生体膜の要求する「構造脂質」なのだから、マーガリンバターにリノール酸がどれだけふくまれているかが問題になる。マーガリンバターは、相当量のリノール酸を含んでいるが、その合成リノール酸の大部分は天然リノール酸と分子の形態がちがって、構造脂質として役にたたない代物であることがわかってきた。
もっとも、フレッシュバターがリノール酸をふくむわけではない。
〔三石巌全業績−11 健康ものしり事典(絶版)P212より抜粋〕