三石巌の書籍で、現在絶版して読むことができない物の中から、
その内容を少しずつですが皆様にご紹介させていただきます。
骨折しやすい骨があるか
跳び箱で手の骨を折った、ころんで腰の骨を折った、などの話はめずらしくない。一方、跳び箱で手の骨を折らず、ころんで腰の骨を折らない人がいくらもいるのが実情だ。骨折しやすい骨と、骨折しにくい骨とがあることは事実だが、両者はどこがちがうのだろうか。
まず、骨という名の構造物の組織をみると、鉄筋にあたるのがタンパク質コラーゲン、鉄筋をしばる針金にあたるのがカルシウム、コンクリートにあたるのが粘質多糖体、ということだろう。骨をコンクリートの建造物にたとえての話だが、この対比から、タンパク質の不足も、カルシウムの不足も、粘質多糖体の不足も、すべては折れやすい骨、と考えてよいことがわかる。
カルシウム不足を「脱炭」といい、脱炭した状態を「骨軟化」というが、これは、カルシウムの摂取不足からもくるし、リン酸飲料の過飲からもくるし、カドミウムや鉛の中毒からもくる。
粘質多糖体の主なものは「コンドロイチン硫酸」だが、これの生合成にはビタミンAがいる。したがって、ビタミンAの不足も、弱い骨の原因となる。
〔三石巌全業績-11 健康ものしり事典(絶版)P247より抜粋〕