18 続・活性酸素 〜普通より強い力で相手を酸化〜 | 分子栄養学のススメ

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分子栄養学の確立者である三石巌によって設立された会社“メグビー”のブログです。

 われわれの味方とばかりおもっている酸素が活性酸素となまえを変えてドロボーをはたらくとは、いったいどういうことなんだ。

 しばらく、しんぼうして読んでもらいたい。

 すべてのものは分子のあつまりなんだが、ひとつひとつの分子をみると、いくつかの原子核のまわりをかこんで電子がうごめいている。その電子の数は偶数でないとおちつかないってことがあるんだ。これはミクロの世界のおきてだから文句はつけられないさ。

 ところでおなじみの酸素分子をみると、電子の数は十六だ。偶数だ。それでおちついていればなにごともないんだが、酸素分子には電子を一個とりこむ悪いくせがあるんだな。そうすれば十七個になる。

 十七個は奇数だ。これはおきて破りだ。そこでもう一個の電子をあわててとりこまなきゃならなくなる。そばにぼんやりものの分子がいれば、そこから電子をもぎとってしまう。これがつまり電子ドロボーってことだな。これが活性酸素だってことは、察しがつくだろう。

 活性酸素っていうことばを聞くと、なにかありがたいものって感じがするんじゃないかな。でも、これがこまるんだ。

 キミは鉄がさびることを知っているだろう。ステンレスのことじゃないよ。ステンレスはさびないって意味なんだから。鉄はさびるとき酸素と化合している。酸化ってことだ。酸素には酸化力があるんだな。これがつまり酸素の活性ってものだ。酸素の活性は酸化力としてあらわれるってことだ。

 活性酸素っていえば、わざわざ活性をくっつけたんだから、活性がつよいことを意味している。ふつうの酸素より酸化力がつよいってことなんだ。

 ミクロの世界のことがわかってくると、酸化の意味がひろくなっちゃった。酸化とは電子をぬきとられることを意味する。だから、おなじみの電子ドロボーってやつは、相手を酸化することになる。学校でならったくせにわすれているんじゃないかな。

 ここまで話がわかると電子ドロボーは酸化剤ってことになる。

 電子ドロボーがDNA分子から電子をひっこぬくって話がまえにあった。DNA分子は酸化されるとまずいって話から、いよいよ電子ドロボーよけの話がはじまる。

 

 

本原稿は、1994年5月13日に産経新聞に連載された、三石巌が書き下ろした文章です。