16 突然変異 〜3度目には修復不可能でがんに〜 | 分子栄養学のススメ

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分子栄養学の確立者である三石巌によって設立された会社“メグビー”のブログです。

 DNA(遺伝子)分子から電子をぬすみだすやつがいたら、それが設計図をくるわせる犯人だから、発がん物質ってことになる。それを知っているからこそ、ボクはがんの予防に成功しているわけさ。これから、それを一席やろうっていうんだ。

 ミクロの世界にスリ団がいる。かれらは原子のもっている電子をねらう。カネとまちがえるはずもないんだが。カネドロボーじゃなくて電子ドロボーだ。

 細胞の中心には核がある。核のなかにはDNAがある。DNA分子をつくる原子のどれかが電子ドロボーにやられると、その細胞はまともじゃなくなる。死ぬのがおおいが、死なないやつはタチがわるい。がん細胞になるやつがいるんだな。

 DNAがくるえば設計図がくるったわけだ。こういう現象を突然変異っていう。どこかで聞いたことがあるんじゃないか。

がん細胞がひとつやふたつやふたつできたからといって、がんになったとはいわない。そんな小さなものはみつかりっこないんだな。

 がんの増殖ってこともきいたことがあるだろう。がん細胞はふたつに分裂し、それぞれがまたふたつに分裂する。それをとめどなくやらかすんだ。それが増殖ってことだな。

 がんの早期発見っていうことばを見たか聞いたかしたことがあるだろう。このとき、がん細胞の数は十億をこしているのがふつうだ。そこまでこないとみつけるのがむずかしいってことなんだ。そこまでくるにはさいしょのがん細胞ができてから二十年ほどかかるって話だよ。

 いまがんの告知をうけた人がいるとしよう。その人は二十年まえからがんにかかっていたわけだ。知らないでいたってことさ。

 がんが一人前になるまでの二十年のあいだに、おなじDNAが三度ほどドロボーにやられているという話になっている。一度やられたDNAも、二度やられたDNAもなおしがきく。いたんだところの修復がきく。

 修復してしまえばがん細胞はふつうの細胞にもどる。がん細胞ができてはなおり、できてはなおりってことが、キミのからだにおきていないとはいえない。

 三度目の正直ってことばがあるけれど、修理のきいていない二度の突然変異に三度目がおいうちをかけると、もうもとにはもどらないって話ができあがったようだ。

 

 

本原稿は、1994年4月22日に産経新聞に連載された、三石巌が書き下ろした文章です。