高齢化社会の影響もあり、骨折から寝たきりになったことをきっかけに痴呆症や肺炎などの合併症が生じて、“本当の寝たきり”になってしまうお年寄りが増えてきているそうです。
寝たきりを引き起こす骨折としては、脊椎圧迫骨折や大腿骨頸部骨折が占める割合も高くなってきています。
中でも、特に多いのが「脊椎圧迫骨折」です。
これは背骨(脊椎)が押し潰されるように変形してしまう骨折で、特に胸と腰の境界部分に起こることが多いといわれています。
骨折の原因には、骨粗鬆症が進んで脊椎が弱くなることが関係しており、転倒、しりもち、咳やくしゃみなどの小さな衝撃でも容易に起こります。
主な症状には、患部(腰や背中)の痛みがあげられますが、骨折により神経が圧迫されると、足に痺れや痛みが生じることもあります。
今回は「脊椎圧迫骨折」による寝たきりを予防する為の栄養対策について、一緒に考えてみましょう。
【治療と栄養対策の必要性】
脊椎圧迫骨折に対する治療では、長期臥床(寝たきり状態)による保存療法で、骨癒合を待つことが主となります。痛みに対しては、鎮痛剤の投与やコルセットの使用を行い、神経障害(足の痺れなど)が出る場合には、入院や手術をすることもまれにあります。
痛みが軽減して動けるようになると、リハビリによる起立訓練や歩行訓練が始まります。
基本的に一度潰れてしまった脊椎は元には戻りませんので、何箇所も圧迫骨折を起こすと背骨が曲がったり、身長が低くなることがあります。
特に、骨粗鬆症が進んでいる場合には治りが悪く、骨折後数ヶ月経ってから足の痺れや痛み、動き難さなどが出てくることもあります。
また、早期に無理をすると背骨の変形が進むことがありますので、痛みのある間(1~2ヶ月)は無理をしないことが大切です。
圧迫骨折の場合、長い間の寝たきり状態を強いられることが多い為、運動機能の低下や床ずれ、背筋群の凝りや痛み、睡眠の乱れ(昼夜逆転)、呼吸器・尿路系の感染、うつ状態や痴呆(認知症)などの合併症(廃用症候群)が起こりやすくなります。
このようなことから、圧迫骨折への対策では、骨の強度を向上させることはもちろんですが、治療やリハビリ、合併症の予防も視野に入れた栄養対策を強化していくことが必要となります。
つづく・・・