細胞の内側にも水溶液があります。内と外とでは、とけこんでいる物質の量が同じではありません。
細胞が生きてゆくためには、水のなかに住みながら、内と外とに特別な環境をもっていなければならないのです。
水のなかで独立した環境を保つためには、境界がなければなりません。
その境界は、単なる仕切りではなく、物質を選択してとり入れたり、ホルモンのもたらす情報をキャッチしたりする能力を備えていることが要求されます。
からだはこのむずかしい問題を、脂質を利用することによって解決しました。
脂質の特性は水にとけないことですが、なかには水になじむ部分生命をもつ脂質もあります。
水に対しての相反するふたつの性質を兼ねそなえた脂質―リン脂質が二層に並んで膜構造をつくったとき、細胞は理想的な働き場所を確保したのでした。
つづく・・・