真の生活の充実
生活者人間の本性は、生活の充実を願ってやまない。
いかなる人も、みのり多き人生を望み、輝やかしい生命を望んでいる。
完全電化の堂々たる家に住み、うまいものを食べ、流行の服装をととのえれば、衣食住とよばれるせまい意味での生活は充実したといわなければなるまい。
しかしこれだけで毎日を満足して送ることのできる人はいないであろう。
なかには、この種の充実をいさぎよしとしない人さえいる。
衣食住の充実を願って、人生や生命の充実をなおざりにすることは、真の生活の充実ではない。
また人生や生命の充実を願いながら、衣食住の充実をかえりみないことも、真の意味での生活を充実させる道ではない。