科学技術の自己運動とチェック・コントロール
私の目には、科学も、また科学技術も、自律的に動いているようにみえる。
これを私は科学技術の自己運動と名づけた。
発明や発見は、この自己運動の産物にはかならない。
そしてそれは、人類に幸福をもたらし、あるいは不幸を味わわせる。
この科学技術の自己運動に対して、チェックし、コントロールするシステムが不可欠だ、というのが、私の考えである。
科学技術の自己運動を野放しにすれば、絶対に起こるはずのない事態が、人類の手によって招きよせられることもあり得る。
そのような事態は、事前に回避されなければならぬ。
われわれは、科学技術の自己運動に対して、強力なチェック・コントロールのシステムを内包する政治、もしくは社会体制を待望しなければならないことになる。