「責任者不在で国を動かす人々……」
この一週間、自社の通信を作成するために、土づくりと病害対策に集中し、土壌消毒についても考えていました。
内容を悶々と考え、レイアウト、構成、色彩に迷い、「総合防除/土づくり編」「総合防除/土壌消毒編」それぞれ2枚両面で作成し、印刷会社に依頼してホッ!
そんなタイミングで、昨日は、山下惣一氏の生涯を伝えるテレビ番組と、新聞記事を目にしました。
国の政策に修正を求める提案をし続け、昨年、亡くなった山下氏。
今ある農業問題、食料問題に対峙し、最期までその行動で、あるべき方向を示し続けた信念の人です。
NHK「日本は農なき国を望むのか/農民作家山下惣一の生涯」
NHKプラス 9/30まで放送
国連では「家族農業の10年」(2019~2028年)に取り組んでいます。
家族農業で世界の食料の8割以上を生産しているそうです。
山下氏は、国が進めてきた農業政策が「土を粗末にするもの」として憂い、「食べることと環境と地域社会は密接に繋がっていることを説きました。
時代を振り返ると、1960年の所得倍増計画によって、翌年、農業基本法が制定され、選択的拡大と称して「換金作物を選択して規模拡大する」産地化が進みます。
山下氏は、この年、結婚してミカン栽培をはじめますが、国が推奨したこの栽培は、後に生産過剰で価格が暴落。
さらに1988年、自動車の輸出のためにオレンジを輸入自由化する日米オレンジ交渉が決着します。
効率を重視した栽培が拡大し、化学肥料や化学農薬の使用が増え、土は痩せて、連作障害で産地がなくなる状況も、今に続いています。
進むべき方向へ本当に向かっているのか。消費者も、考え、行動する時です。
●信濃毎日新聞掲載 「振り返れば未来/農民作家山下惣一聞き書き」不知火書房
この本の紹介記事で、政策を動かしてきた人々に対して、「しかし、彼らは反省しない。目先の効率だけを重視して、日本の農村を原野に戻し、食料自給率はさらに低下。……歪な国に向かう流れが止まらない。この本は、日本が踏みとどまるための、全国民にとっての必読書である。」と結んでいます。
目の前の政策を動かし、振り向いたら歪んだ道を描いていた。
その責任を取る人は、どこにもいない組織という存在。
今、私は……。
農業の現場にある、連作障害による土壌病害の問題と向き合いながら、微力ながら解決策に取り組んでいる毎日です。
同じ日に、山下氏の生涯を伝える番組と記事に出合い、想いを強くしている今宵です。
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