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魔道祖師 番外集【四巻別冊】 著者 : 墨香銅臭 発売日 : |
大人気シリーズ華流ドラマ「陳情令」原作小説の番外集。
本編に比べると、分厚さは比べものになりませんが、中身は本編に勝るとも劣らない濃さでした。
前半は主役の二人が姑祖藍氏と雲霧江氏の若き公子、弟弟子たちに「夜狩り」を通して修学させるという形を取りながら、魔物退治を描いています。
後半舞台となる時代がやや遡り、無嬰と忘機がまだ少年時代の話もありました。オモテでは無嬰に冷淡にふるまっていた忘機が実は、無嬰のことがとても気になっていたーという事実が、忘機が一人ひっそりと蓮池に花托を取りにいった話から明らかになります。この話を読むと、後に無嬰が蘇ってから、何故、忘機が彼の側を片時も離れようとしなかったのか、忘機の無嬰への想いの深さが判ります。
そして、最後の話では、若き日の忘機が無嬰が語った「蓮の花托は茎つきの方が美味」という話を確かめるために、わざわざ蓮池まで行った直前の話とつながる感じです。
時間は流れ、一度死んだ無嬰は忘機と今度こそ結ばれ、幸せに過ごしています。本編の四巻の感想にも書きましたが、一度、現世では実らなかった恋だからこそ、忘機は蘇ってきた無嬰に対してもう、愛情を示すことを躊躇いはしないのかもしれません。
本当に読んでいて、私自身も幸せな気持ちになれました。辛い想いをたくさんした二人だからこそ、本当に末長に幸せに暮らして欲しい。
また、無嬰の従兄弟の江澄と無嬰が少年時代に蓮池に花托を取りにゆく話もありました。一度は敵対し烈しく闘った二人ですが、少年時代の微笑ましい様子に心があたたかくなりました。
さて、私はこれから原作小説第一巻に戻ろうかと思います。何しろ四巻から読み始めたイレギュラー読者なので、どうなることやら。しかし、意外性も含めて、とても楽しみにしています。