【ちょっと良い話】ー近くのカメラで実際にあった出来事。~心は晴れあがった青空のように | FLOWERS~ めぐみの夢恋語り~・ブログで小説やってます☆

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Every day is  a new day.
一瞬一瞬、1日1日を大切に精一杯生きることを心がけています。
小説がメイン(のつもり)ですが、そのほかにもお好みの記事があれば嬉しいです。どうぞごゆっくりご覧下さいませ。

皆様、こんにちは。

 

 今日は、昨日よりは少し気温が低いのでしょうか。

 

 まだまだ残暑は厳しいけど、夜に聞こえてくる秋の虫の声は賑やかになりましたね。

 

 季節は少しずつ、秋へと移行しているようです。

 

 我が家ではそろそろ、息子が夏期休暇を終えて高野山に戻る日が近づいてきました。

 

 丁度一ヶ月前の今日、息子は高野山から帰省しました。

 

 あれから、もう一ヶ月が経つのかぁ、、、

 

 時間の経つのが物凄く速く感じられます。

 

 今夜は四人の子どもたちを連れて、近くのファミレスに行く予定でしたが、

 

 急きょ、変更となりました。

 

 当地にも緊急事態宣言が出ていることもあり、ファミレスでテイクアウトをお願いする

 

 ことになりました。

 

 私も子どもたちも楽しみにしていたんですけどね、、、

 

 やはり、感染も怖いですし。

 

 さて、今日のお話は数年前のことになります。

 

 良かったら、聞いて下さいね。

 

 ウチの近くにカメラ店があります。

 

 従業員は店長を含めて数人程度、店長は穏やかなシルバーグレーの紳士でした。

 

 愛想が良いとかいうのではないのですが、雰囲気がやわらかく、とても感じよい方でした。

 

 もう、かなり長い間、チェーン店であるそのカメラ店に店長として勤務されていたと思います。

 

 感じの良い方だとは以前から思っていましたが、来店の度に割と親しくお話をするようになった

 

 のは、ある出来事がきっかけでした。

 

 これからお話しするのは、その体験談です。

 

 ある日、私はデジカメで撮影した写真をそのお店でプリントしました。

 

 受け取りに行った時、たまたまレジに店長がいて、

 

 ー東さん、新聞をみましたよ。おめでとうございます。

 

 まるで自分のことのように嬉しそうに言われたのです。

 

 数年前、岡山市民文芸祭で初めて市長賞を頂いたときのことでした。

 

 まさかカメラ店でー店長がそのことについて、お祝いコメントを下さるとは

 

 予測もしていませんでした。

 

 地元の新聞にはかなり大きく取り上げられるので、地元の方ならば見ていても不思議ない

 

 ですが、見たとしても、わざわざ声をかけて下さることは少ないだろうと思います。

 

 なのに、店長は晴れやかな表情で、私に祝福の言葉をくれました。

 

 そのときのハッとした気持ちーもちろん、良い意味ですーは、今も忘れられません。

 

 ささやかなことかもしれません。

 

 しかし、あまり関係のないーたまに利用するカメラ店の店長、しかも、それまではあまり話した

 

 こともない方がわざわざ声をかけて下さるとは思わなかっただけに、

 

 本当に嬉しかったのです。

 

 それを機会に、店長とは時々、話をするようになりました。

 

 写真の撮影の仕方のようなノウハウ的なことや、

 

 ーその後、書いておられますか?

 

 とか、私の創作活動などについても、たまに訊ねられることもありました。

 

 店長の人柄でしょうか、店全体の雰囲気もとても良かったと思います。

 

 ところが、今年の春以降、店長の姿が見えなくなりました。

 

 もうコロナが猛威をふるっていましたので、もしかしてーと心配していました。

 

 でも、何の関係もない自分がわざわざ訊ねるのも不自然かなと思い、

 

 聞けずにいました。

 

 店長はずっと姿を見せないまま日は過ぎ、確か六月くらいだったでしょうか。

 

 たまたまお店を訪れた時、レジにいたのは顔見知りの女性店員でした。

 

 チャン・グンソクさんの大ファンだとかで、国内コンサートには何度も足を運んだという方です。

 

 韓流の話で盛り上がったことがありました。

 

 丁度良い機会なので、私は思いきって訊ねました。

 

 ーそれはそうと、近頃、店長さんはどうされたんですか?

 

 すると、意外な答えが返ってきました。

 

 ー店長は今年の三月で退職しました。長く勤務したんですけど、定年で。

 

 ああ、と、このとき、何ともいえない気持ちになったものです。

 

 とにかく病気など、健康上の理由ではないことには安心しました。

 

 同時に、とても淋しい気持ちになりました。

 

 そのお店を率いる「店長」はやはり、お店の顔でもあるのでしょう。

 

 それまでのお店は、本当に何となく気持ちの良い雰囲気でした。

 

 しかし、店長が退職されてからは、やはり雰囲気が違います。

 

 女性店員が少し離れた隣を見て

 

 ー新しい店長です。

 

 と言われ、私は、そういえば前の店長がいなくなった頃から入れ替わりのように姿を見せ始めた

 

 男性に改めて気づきました。

 

 口数が少ないといえば聞こえは良いですが、ー申し訳ないですがー暗い感じの

 

 愛想の悪い人でした。

 

 そっか、もう、あの店長には会えないんだなと思いつつ、お店を後にしました。

 

 それからしばらくして、たまたまカメラ店のクチコミをネットで見ることがありました。

 

 その中で低評価のクチコミが

 

 ー店長が最低、不親切で無愛想すぎる。二度と行きたくない。

 

 と書き込まれており、驚きました。

 

 

 

 「店長」といえば、私の中では今でも前の店長しかいません。

 

 まさか、あの優しい親切な人が「不親切で無愛想」?

 

 そんなはずはないと思いつつ、クチコミが投稿された日付を見たら、つい最近でした。

 

 もちろん、投稿された日付と投稿者の体験が一致するとは限りませんが、、、

 

 恐らくは投稿した人は、腹立ちのあまりに書き込んだでしょうから、

 

 そういう体験をしてすぐに投稿されたものと考えた方が自然です。

 

 なので、自然に納得してしまいました。

 

 ーうん、あの今の店長であれば、こういうクチコミがあっても不思議ではないな。

 

 もちろん、今の店長が本当はどのような人なのか?

 

 そもそも話したことがないので、断定はできません。クチコミを鵜呑みにすることはできないですが、

 

 いつも私が目にする店長の態度と、クチコミはほぼ符合していました。

 

 お世辞にも、愛想が良く親切とは言いがたい雰囲気です。

 

 多分、前の店長がいれば、このようなクチコミは絶対になかったであろうと思います。

 

 その時、返す返すも、前の店長がいた頃のお店の雰囲気が懐かしいな

 

 と思い返しました。

 

 以前のお店は、よく晴れあがった青空のようなー丁度、洗濯日和のような気持ちの良い

 

 雰囲気でした。

 

 今の店長の悪口が言いたいのではありません。

 

 ただただ、以前のお店は良かったな、また行きたいと思える店だったなと

 

 いうことが言いたいのです。

 

 救いは店長が任期満了で、皆さんから労われて退職されたことです。

 

 病気でなくて、本当に良かった。

 

 このお店は元々、別の場所にあり、移転して今の場所になりました。

 

 今は成人した長女がまだ赤ちゃんの頃です。

 

 店長は、恐らく、その頃からずっと「店長」を務められていたと思います。

 

 本当に長い間、お疲れ様でした。

 

 そして、思いがけない場所で思いがけない人に人生初めての大きな賞の受賞を祝福して貰ったこと、

 

 そのときの嬉しさ、心がじんわり、ほっこりと暖かくなったことは

 

 ずっと忘れないと思います。

 

 いつ訪れても、店長はどのお客さんに対しても、親切に対応していました。

 

 これからの「店長」の人生が幸多きものであることを、心からお祈りします。