「母」「女」として愛に生きて散った花、朝鮮王朝時代に咲いた申サイムダンの生涯「申師任堂」全巻視聴 | FLOWERS~ めぐみの夢恋語り~・ブログで小説やってます☆

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こんな愛の形もあるんだな~。
全巻見終わっての感想は、ただ一言、それです。

サイムダンって、あの韓国のお札にも乗っている女性で、確か著名な儒学者のお母さんじゃなかったっけ、、、
私の乏しい知識では正直、その程度でした。
なので、このドラマを見始めた当初は、今、特に見たいものはないし、とりあえず見てみようかな、何しろ、あのチャングムのイ・ヨンエさん久々の復帰作だし、そんな感じだったのです。
それが見始めてだんだんと巻を追う毎に、その作品世界に引き込まれてゆきました。
謎が多いといわれる朝鮮王朝時代の女性芸術家サイムダンの生涯を改めて捉え直し、大胆な新解釈と虚構を混ぜて再構築した作品といえるでしょう。

歴史とか正当性とはまた関係ないところで、物語として素晴らしい作品だと思います。
歴史のあちこちの隙間に巧みにフィクションを織り込み作られ、また現代を生きるソ・ジユン、朝鮮王朝時代を生きるサイムダン、二人の女性の違うけれど、どこか共通した生き方を交互に描くことにより、「サイムダン」の生涯を浮き彫りにすることに成功しています。
内容については細かくなるので、一つ一つ言及はしませんが、ストーリーの要所要所で主役以外の登場人物もよく描写されていて、とても良かったと思いました。

かなりの長いストーリーですが、主役カップルのサイムダンとイ・ギョム(宜城君)とは手を握るシーン、抱擁が精一杯で、キス一つさえありませんでした。
そんなプラトニックな純愛にも拘わらず、二人の互いを想い合い強く惹かれ合う恋情が切々と画面を通じて伝わってきました。
これだけ清らかな関係なのに、烈しい愛を作品で表現することができるというのも愕きでした。
そこから、冒頭の「こんな愛の形もあるのか」と眼からウロコだったわけです。
深く心に残る作品との出逢いでした。
ラストのイタリアの修道院ー月の昼寝ーで、ギョムとサイムダンが漸く一緒になれ、長い道を歩いてゆく後ろ姿に涙がこみ上げました。
現世では添い遂げられなかった二人の魂が朝鮮をはるか離れたイタリアで結ばれ、安らかに眠ることを祈ります。