本当の幸せは大奥にはなかった―略奪愛が哀しい結末を招いた姉妹の愛憎劇 時代劇「大奥第二章」感想 | FLOWERS~ めぐみの夢恋語り~・ブログで小説やってます☆

FLOWERS~ めぐみの夢恋語り~・ブログで小説やってます☆

Every day is  a new day.
一瞬一瞬、1日1日を大切に精一杯生きることを心がけています。
小説がメイン(のつもり)ですが、そのほかにもお好みの記事があれば嬉しいです。どうぞごゆっくりご覧下さいませ。

今日嬉しかったこと ブログネタ:今日嬉しかったこと 参加中

こんばんはやや欠け月


 今日、嬉しかったこと。


 それは久々に見応えのある面白いドラマを見たことです!!


 もちろん、時代劇―笑


 この前の記事でもお話したんですけど、今夜はたまたま沢尻エリカさん主演で


 あの伝説の「大奥」の第二部があると知り、ついさっきまで見ていたんです。


 いやー、面白かったですね。


 元々、連続ドラマでやって頃はすべて見ていましたし、今も続きをやるのなら見ると思います。


 それくらい好きです。


 内容を簡単にご説明しますと、旗本の娘梅と歌の美しい姉妹が


 11代将軍徳川家斉に見初められて大奥に上がりました。


 将軍の寵愛を受けて時めき、懐妊する姉を羨むあまり、


 妹は言葉巧みに将軍に近付き、姉から寵愛を奪います。


 やがて姉は姫を出産、将軍の愛は次第に妹に移るかに見えますが、


 寵愛を笠に着る女に嫌気が差し、また姉の方に戻り、姉が再び懐妊。


 ところが、妹は姉に薬を飲ませ流産させてしまう。


 そして、同じように将軍の御子を懐妊していると主張していた妹は実は想像妊娠で


 あまつさえ他の男と密通したことが露見。


 激怒した将軍にあわや殺されるところ、姉のとりなしで助かった。


 そして、生命を賭けて姉は妹を庇い、自ら生命を絶った―。


 姉の優しい気性を愛する将軍は嘆き悲しむ、、、というところ。


 一口に言えば、姉妹で将軍の寵愛を奪い合った愛憎劇ということになるのですが、


 大奥という特殊な女だけの閉鎖された世界で生きる女の哀しみがよく描かれていたと思います。


 大奥はいわば、将軍ただひとりの男が足を踏み入れる場所。


 大奥の女は皆、そのたった一人の男を待ちわびていたんですね。


 ましてや、上様に見初められて側室に、やがては御子を生んで「お腹さま」にという


 野望を持つことのできる美しくて若い御中臈などは、それはもう


 互いに笑顔を浮かべてはいても、心はライバル心いっぱいの鬼面だったと思います。


 姉妹で、ほぼ同時期に召されたのなら、尚更、敵愾心も激しかったことでしょう。


 妹が最後に呟まくのが印象的でした。


ー私はこの世を勝ち負けを決める場所だと思うておりました。


 しかし、本当は愛するものに出逢い、愛する場所だったのですね。


 言葉どおりではないけれど、こんなセリフだったと思います。


 姉に対して嫉妬心をむきだしにして、将軍の愛を奪おうとし、ついには姉の子を


 殺してしまった妹。


 そんな妹をあくまでも庇う慈愛に溢れた姉を沢尻さんが好演していましたね。


 私、実はあまり知らなくて、沢尻さんといえば「悪女」が上手い、ハマリ役というイメージ


 でした。


 そんなことは全然ないですね。


 凜としていながら、たおやかで優しい武家の女性を見事に演じて、たぶん、この女優さんは


 悪女善女、どんな役柄でもこなしてしまうんだろうと思いました。


 沢尻さん演ずる姉が妹に


―何故、そなたは、そのように他人を羨むのか。満ち足りた暮らしをしていながら、ないものを欲して


 手に入れればまたほしがる。そのようなことを続けておって、その先に幸せがあると思うか?


 と、問いかけ諭すシーンがありました。


 元はといえば、自分より先に将軍の目に止まった姉を羨み、将軍に近付いて


 姉からその愛を奪った。


 姉が次々に懐妊すれば、それをうらやみ、姉から子を殺すという形で奪った。


 今で言えば、略奪愛ですね。


 奪っても奪っても足りない、それは妹が将軍を本当に愛してはいなかったから。


 本当の愛は幼い頃からずっと傍にいて、彼女を見守ってくれていた家臣だったのですね。


 でも、真実に気づいたときはもう遅かった。


 これはフィクションですが、本当にかつて存在した大奥という場所も、


 恐らく、こういう場所であったと思います。


 ただ一人の男の愛と関心を競い合い奪い合い、生き残るためには


 相手を平然と蹴落と容赦ない女の生き地獄。


 私は以前、側室三十数人、子女五五人という稀代の好色将軍家斉の大奥のエピソードを


 読んだことがあります。


 お葉という大店の娘が家斉の目に止まったのですが、


 彼女は―夜尿症にて、上様のお相手はできませぬ。


 と、大奥を辞めて実家に帰ったそうです。


 夜尿症というのは、続に言う「おねしょ」のこと。


 幾ら美しくても、それでは上様のお相手はできないと辞職も認められたそうですが、


 後日、他の奥女中が所用で江戸市中に出かけた時、


 やはり大店に嫁いで、幸せそうな若妻となっているお葉を見たそうです。


 それを上のに報告したところ、おそらくお葉の「夜尿症」というのは真っ赤な嘘で、


 好色な将軍の一時の慰みものにされるのが嫌で、逃げ帰っだろうと推察したとのこと。


 ―夜尿症では、嫁ぐことなど叶わぬが、あれは偽りであったに相違ない。


 と、お葉の嘘は見て見ぬふりをすることにしました。


 そんな逸話があるほど、家斉という人は女好きだった。


 そのお葉さんにしても、「本当の幸せ」はどこにあるか、よく知っていた、


 彼女の求める幸せは将軍の数多い側室となることでも、上様の御子を生むことでもなく、


 嫁いで自分一人を愛してくれる夫を持つことだった。


 そういう風に、江戸時代でも、物事の真実を真っすぐに見つめることのできる


 賢明な女性もいました。


 ただ、大勢の女性はやはり、ドラマの妹のように、最高の環境で権力者に愛され、


 贅沢をすることだったかしれませんね。


 その「贅沢な幸せ」がいかに中身のない、張りぼてのまがい物かに気づきもしないで。


 姉が「そなたの生き方が哀れでならぬ」といっていましたが、


 本当の幸せを知らずに生涯を過ごすしかなかった大奥の女性たちは


 もしかしたら、ある意味、不幸だったといえるものかもしれません。


 久しぶりに楽しいひとときを過ごせました。


 ところで、今、少し調べたら、実は「大奥」第一部が先週放映されて、


 そこでは沢尻さんが「悪女」を演じたとか!


 ううっ、哀しい。


 私、それは全然知りませんでした。惜しいことをしたなあ。


 まあ、でも、片方だけでも見られて、ラッキーだったと思うことにしよう、、、