



犯人が最初の第1発目の発射後、群衆から様々な反応が起こった。多くの者は後にクラッカーかアフターファイアーが鳴ったと思ったと証言。リムジンに乗っていた大統領夫妻や知事夫妻は一斉に右方向を向き、大統領は喉を押さえるように両腕を開き胸に当てて頭を下向きにして苦しい顔になり、ジャクリーン夫人は一瞬何が起こったのか判らず、大統領の顔を覗き込んだ。
その前列では撃たれたコナリー知事が「ノー、ノー、ノー!大変だ、皆殺しにされるぞ!」と叫び、その声で運転していたビル・グリアーは素早く振り向き叫んでいる知事と大統領を確認して前方を見た。その時に彼はブレーキを踏んでおり再び後方を振り向くとケネディが頭部に致命傷を負う瞬間を実際に目の前で狙撃した。
ケネディに命中した第2発目がケネディの右側頭部を貫通すると彼はわずかに前傾し、彼の頭部右側の傷が頭蓋を開き右肩は前方にねじれ僅かに上向きになり、その後座席後方のクッションに垂直にぶつかりすぐ妻のいた左側に崩れ落ちた。これが致命傷になった。
ジャクリーン夫人が動転して後方に目を移し、オープンカー後方に這い出た。この時、夫人はトランクに飛び散ったケネディの頭部の骨片を手にして病院到着後に医師に渡した。
1発目の直後に後続の車を降りて駆け寄った護衛官のクリント・ヒルが夫人が這い出るのと同時にリンカーン・コンチネンタルに追いつきトランクに飛び乗って夫人を座席に戻しパークランド記念病院へ向かうよう大統領専用車の前席にいたケラーマンが運転手に指示。
テキサス教科書倉庫ビルの前は芝生の広場で通称ディーリー・プラザと呼ばれている。この広場の道路をパレード中の大統領が市民の目前で撃たれてすぐにリンカーン・コンチネンタルが猛スピードで走っていくところを多くの市民が見て、エルム通りはパニックに陥り、パレードを見に来ていた市民が一斉にディーリー・プラザをかけ抜けていった。地元ダラス警察の白バイ隊員がバイクを置いてその場で拳銃を取り出して構えたが、何がどうなったのか分からず警察官もパニックになっていた。

