森永は昭和39年1月にハイクラウンチョコレートを発売。業界にいち早く「質の時代」を開いたが、昭和40年代に入りカカオ豆の輸入価格が下がってきたタイミングをとらえ、昭和42年の目玉商品として大型の板チョコ「エールチョコレート」の発売を決めた。
広告企画会議では、商品コンセプトである「従来の板チョコより一まわりほど大きくて値段は50円のお徳用」を、どのようにインパクトのある広告に展開するかが検討された。
様々な議論の末「今までの日本は小さな幸せ、慎ましやかな幸せが美徳とされてきた。これまでにない速さで経済大国の道を歩みつつあるこれからは、もっとのびのびと胸を張って大きいことはいいことだと主張しよう」という方向が決まった。
そうして誕生したコマーシャルが当時、型破りでひょうきんな指揮者として人気を博しつつあった山本直純を起用した「大きいことはいいことだ」のテレビCMだった。
経済の上昇気流に乗った日本を象徴するように気球の上から1300人もの大群衆を指揮する山本センセイ…。ヒットするCMの裏には、キャラクターの魅力とともに、時代を的確にとらえた視点とメッセージがある。
モリナガデジタルミュージアムより記事を引用