
仕事や学校に行く前の、何かと気ぜわしい朝の時間。フジテレビの人気情報番組「めざましテレビ」で、楽しいエンターテインメント情報を届けているのが、弘前市出身の小山内鈴奈さん(27)だ。明るく柔らかな雰囲気が、見ている人の心をほぐしてくれる。たまに飛び出す津軽弁も小山内さんの持ち味だ。「会社の先輩からは『青森で生まれ育ったその素朴さを失わず、変わらないでいてね』って期待されています。番組で津軽弁を話して良いよ、と言ってもらえるのでうれしい」
エンタメキャスターを担当して1年半。華やかなテレビの世界にいることがいまだに信じられない-と謙虚に語る小山内さんだが、アイドルやアーティスト、有名俳優への取材も多い。
最初は緊張で震えが止まらなかったり、質問を忘れてしまったことも。「ようやく慣れたかな」という小山内さんが今心がけているのは、カメラが回る前のトークで相手の心をほぐすこと。新曲や映画は事前にチェックし、話題に出すことでその場が和らぐという。
「私が質問することで、めざましテレビだけに言ってくれる答えをどれだけ引き出せるか。いつもディレクターと相談しながら考えている。相手へのリスペクト(尊敬)を忘れず、見た人に興味を持ってもらえるよう取材しています」
元々の志望は医療系の仕事。弘前大学理工学部に入り直したのもそのためだった。ただ「どうしても理系科目が苦手で…」(小山内さん)。そんな時アナウンサーを勧めてくれたのが母親だった。高校時代の放送部での活動や、「ミス桜」として人前に出ていた小山内さんの素質を見抜いていたのかもしれない。
思い返せば、リンゴ農家の祖父母はいつも軽トラックから流れるラジオを聞いていた。「私の声を届けられたらいいな」。そんな思いも背中を押した。アナウンススクールに通い、バイト代を就職活動につぎ込んでテレビ局を受験。本県にはフジテレビの系列局がないため、「めざましテレビ」は関東の友人に録画してもらって勉強したという。
ずっと暮らしてきた弘前では日常会話が津軽弁。なまりを矯正するために、先輩の特訓や練習を重ねた。その津軽弁も今や武器に。本県出身タレントになまったまま取材する場面は人気コンテンツの一つだ。
活躍は、系列局がない本県でも、BS番組や動画配信サイト、ネットニュースで家族や友人たちに伝わっている。古里からだけでなく、首都圏に生きる県出身者からも「けっぱれ」「見たよ」と応援コメントが寄せられる。
Web東奥より写真と記事を引用