




NASAのジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)は昨年12月25日の打ち上げ後、その性能がフルに発揮できるように半年間にわたって展開と調整が続けられてきた。7月12日、最初のフルカラー画像(赤外線観測データをもとにした擬似カラー画像)および分光観測データが公開された。
「本日、人類がこれまでに見たことのない、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡による画期的で新しい宇宙の景色を披露いたします。これまで撮られた中で最も深い宇宙の眺めを含むこれらの画像は、私たちがどのように問えばよいかすらわかってない疑問にウェッブがどう答えてくれるかを示しています。その疑問を通じて、私たちは宇宙およびその中の人類の居場所についてよりよく理解できるでしょう」(NASA長官 Bill Nelsonさん)。
とびうお座の方向46億光年彼方の銀河団「SMACS 0723」は、他の画像に先立つ7月11日に米国大統領ジョー・バイデンの会見で発表された。JWSTの先輩ともいえるハッブル宇宙望遠鏡はいくつもの「ディープ・フィールド」、すなわち遠方銀河や銀河団が散らばる深宇宙領域を撮影し、画像として公開してきたが、SMACS 0723の画像はJWSTにとって最初のディープ・フィールドと言えるかもしれない。
JWSTの近赤外線カメラ(NIRCam)が複数の波長で12時間半かけて撮影したこの画像では、莫大な質量を持つSMACS 0723の重力が光を曲げるレンズの役割を果たし、遠方の銀河が弧状に歪められ拡大されて写っている。一番遠い銀河の姿は約131億年も前のものだ。
また2009年にNASAは、ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した “数十年分の写真” を組み合わせた深宇宙の画像を公開している。宇宙は約137億年の歴史をもち、ハッブルは約132億年前の(つまり、約132億光年離れた)銀河を観測できた。ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡ではハッブルよりもさらに遠い、ごく初期の宇宙の姿を観測することが期待される。
アストロアーツ
より記事を抜粋
