

【A:奥田研爾/横浜市立大学名誉教授】
【Q】感染者数が激減したのはなぜですか?
【A】「何人かの研究者が『ウイルスが弱くなってきて消えていったのではないか』という説を出してますが、今のところ十分なエビデンスはありません。ただ、一つの考え方としては、十分にあり得ることです。一般的にコロナウイルスのようなRNAウイルスは変異が激しく、弱毒化するウイルスが出てくる可能性は大いにあります。また、日本人は8割前後がワクチンを2回接種しており、マスクや消毒、3密回避など感染対策を続けているのも、感染者が激減した要因でしょう。欧米などでブレークスルーが盛んに起こっているのは、たとえば米国はワクチン接種率が6~7割程度で、マスクもしていないし、普通通りの生活をしています。ワクチンを接種したくてもできない貧しい層も少なくない。コロナは非常に感染力の強いウイルスであるため、国全体で対策できないと残っていきます」
【Q】感染拡大を抑えられているうちに何をすべきか?
【A】「第6波に向けた病床の確保など医療体制の見直しに加えて、新薬やワクチンの開発体制も整えていくべきです。新薬は国産も開発中ですが、感染者の数が全国で1日100人以下になりつつあり、3相の臨床試験にいけない可能性があります。私は東南アジアや途上国などと共同研究を行いながら臨床試験を完了するのがベストだと思っています。新薬開発の遅れは、日本で治験の環境が整わず、臨床試験が行われないケースが多かったから。患者数の多い国と共同で臨床試験をやらなければ、効果を検証することもできず、多くの資金を使っても市場に出回らずに終わってしまうことになりかねません」
新型コロナワクチンの疑問に答える
より抜粋
