
現在アメリカ合衆国中部の大平原となっているこの地域に帯水層が形成されたのは中新世後期から鮮新世初期にかけてのことである。この頃、この地域の西に位置するロッキー山脈における造山活動が活発化し、西から東へ、あるいは南東へと大小の河川が形成されていった。やがてロッキー山脈において侵食が起こり、川や風で運ばれた土砂がこの地域に積もって古い流路を埋め、大量の地下水を含む地層を生み出した。この地層の深さは形成前の地形によって異なる。もともとが谷間だったところは、地下深くまでこの地層が形成されている。この地層の下部では粗い岩が主になっており、上部ほどその粒が細かくなる。
地下水を含む層(帯水層)の厚さは数mから160mまで幅があり、北部ほど厚くなっている。地表から地下水面までの深さは北部では120mほど、南部では30-60mほどである。現在、帯水層への淡水涵養のペースは遅くなってきている。このことから、地層中に存在する地下水の大部分は、氷河期に蓄えられた化石水であると言える。この帯水層は、アメリカ合衆国中西部・南西部の以下8州におよんで広がっている。グレートプレーンズと呼ばれる大平原が広がるこの地域はほぼ全域がステップ気候に属し、全体的に降水量が少なく、河川や湖沼などの地表水が少ない。そのため、この帯水層の地下水が重要な水道水源、農業用水源となっている。

この地域における灌漑農業が始まったのは1911年のことである。1930年代に入ると電力やポンプが整備され、本格的に灌漑が行われた。大規模な灌漑は1950年代まで続いた。こうした大規模な灌漑により、オガララ帯水層からの地下水の流出量は一気に増加した。
オガララ帯水層からの地下水流出の要因として最も大きいものは前述のような灌漑によるものであるが、それに加えて自然に流出する地下水もある。この地域の何本かの川は地下水面よりも低いところを流れている。そのため、水がこれらの川に流れ込み、結果としてオガララ帯水層への地下水涵養にはならず、むしろ帯水層から流出することになってしまう。