
独特の風味があり、保存性に優れる特徴がある。酢や糖分には、冷めた飯が硬くなるのを防ぐ効果がある。寿司種と同等以上に特徴や寿司職人の差が出る。
ご飯用ではなく寿司飯に向いた米を使用する。米は良く研いで、ご飯より水加減は少な目で炊飯する。昆布等の出汁をとった水で炊き上げた飯を使うのが一般的。そのようにして炊き上げた飯を寿司桶に移し、酢に塩、砂糖、などを加えた「あわせ酢」を混ぜ込んだものが、一般的である。
飯に「あわせ酢」を混ぜ込む際、ご飯が熱いうちにあわせ酢をかけ手早く混ぜ合わせる。酢が飯全体に馴染んだ後うちわで扇いであら熱を取る。これは、余分な水分を湯気として蒸発させ、熱によって酢の香味が失われないようにするためである。扇ぎながら混ぜると酢が飯粒の中まで浸透しにくくなり、酢飯が不味くなる。混ぜる容器に木製のたらいのような形状をしたおひつを使用するのもこのためである。
混ぜる際はしゃもじを横方向にすばやく動かし、「切る」ようにしてムラ無く全体にあわせ酢をなじませる。うちわで風を送って充分に冷ましたあと、調理に用いる。風の送り方はいわゆる職人の技となっており、また冷蔵庫などで常温以下に冷やすと飯がばらけて、美味しくない結果に陥る。なお、熱いまま、あるいは温かいままの酢飯は酢の匂いが強すぎて、香味というよりはむしろ異臭を放つことになるので、熱いままの酢飯を食膳にのぼらせてはならない。
「あわせ酢」の混合比と、飯に対する配合比も、調理人の力量の見せ所であり、米の質によっても大きく影響を受ける。寿司店でも各家庭でも、特徴が違うのはそれが原因である。