
通常のタイヤではパンク後操縦性能が悪化し、安全な減速・停止すら困難である。仮に停車できたとしても、後続車に追突される可能性もある。ランフラットタイヤでは、安全な場所までの走行が継続できるため、事故に遭遇するリスクを回避できる。特に、交通量の激しい道路や高速道路のほか、諸外国では、治安の悪い地域や戦闘中など、危険な状態や場所で自動車を停止させ、タイヤ交換やパンク修理をすることを回避できる。
また、スペアタイヤの搭載が不要になり、トランクスペースの拡大、デザイン自由度の向上、車両の軽量化による燃費の向上、それによるCO2削減などといったメリットがある。さらに、自動車が廃車にされると、走行距離が伸びずタイヤローテーションを行わない車両の場合、ほとんどのスペアタイヤは未使用にもかかわらずそのまま廃棄され、大きな環境問題となるため、この問題も解消できる。
欠点としては通常のタイヤと比較して、未だ開発途上の技術のため、乗り心地やグリップなどの基本性能の点で劣る。生産数が少ないため、製品選択の幅が狭く、サイズやタイプによっては納期がかかることもある。さらに価格が高い。また、タイヤ自身が重くなる傾向があり、省燃費走行に向かない。
原則としてパンク修理ができず、タイプによってはホイールごとの交換が必須とされる。BMWディーラーによると、ガソリンスタンドなどで通常のパンク修理は技術的には可能とされるが、パンクにより荷重を支えていた部分が、どの程度消耗しているのか分からないため、緊急時以外は勧められない。再度パンクした際、最悪の場合はランフラットタイヤとして機能しない可能性がある。
現在のランフラットタイヤはほとんどがサイドウォール強化タイプである。タイヤのショルダー部(サイドウォール)の剛性を強化したタイプで、ショルダー部強化タイヤとも呼ばれる。気体が抜けた後はこの部分でタイヤの形状を維持し支える。弾性不足による乗り心地の低下、重量車の荷重には耐えられないことが難点。ブリヂストンを中心としたメーカーで開発された。