
このように金環皆既日食とは全地球的に付けられた名称ですが、金環↔皆既の遷移点では金環皆既日食と言っていいと思います。理論上の遷移点では0秒の中心食(これこそが本当の意味での金環皆既日食)となりますが、全周に渡ってのベイリービーズしか見られません。これは、若干皆既側に寄らないと全周に渡ってベイリービーズとなってしまいます。ちなみに、遷移点では本影の幅が0㎞で継続時間も0秒。食分は1.000です。
1987年3月29日の日食は、日本人が初めて観測した金環皆既日食です。観測地となったガボンのPort Gentilと言う街で、日食情報センターのツアーが実施されました。陸上でわずかに金環帯に位置する観測地ですが、月のクレーターの谷間から太陽の光が漏れ出して全周ベイリービーズが見られました。観測地上空は赤道直下で、熱帯の雲に多少覆われました。そのためノーフィルターで撮影された方が多いです。その1サロス後の金環皆既日食でパナマに行きましたが、奇しくも薄い雲に覆われてノーフィルターで極細金環日食を撮影しました。
右の衛星写真は、1987年3月29日の金環皆既日食帯を示したものです。赤い線が金環皆既日食の中心線で、両脇にある青い線が南北限界線となります。金環帯の幅は僅か2kmです。このように全周に渡ってベイリービーズが見える状態を、かすり日食(Grazing Eclipse)と言います。
日 時 U T Saros 食分 高度 時間 △T 金環帯
1987年3月29日 13:35:15 129 0.99 59.2°3.6s 55.4 2km
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