遷移点での金環皆既日食観測 | スチャラカでスーダラな日々

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故・植木等氏の御冥福に因んでkeiのスーダラな日々を紹介します。故人の映画のようにスイスイと軽妙な人生を送りたいものです☆彡

金環皆既日食経路地図〔NASAから転載〕

遷移点での金環皆既日食観測

遷移点での金環皆既日食を観測するには、大変な困難を極めます。例えば、上記の金環皆既日食経路地図の下側に22:00UT 00m00s 32°と書かれています。ここが遷移点となりますが、洋上のため観測は困難でした。中心食の幅も0mなので、船が動く海上では観測に困難を極めます。

今後、陸上の遷移点で日食が見られる可能性のあるものは、2013年11月3日の金環皆既日食です。海上で見られる遷移点は除外します。ここでの観測場所は、私ならアフリカ・ガボンの海岸沿いで68秒間の皆既日食を見たいです。しかし、陸上での中心帯は全て皆既日食となります。2013年11月3日の金環皆既日食はかなり変則的で、朝方のわずかな間しか遷移点が現れません。実質2013年11月3日の日食は、陸上全域で皆既日食であると言えます。

アクセスしづらいのを度外視すれば、2013年11月3日の日食でも金環皆既日食に近い状態の中心食が見られます。中心帯の掛かるエチオピアとソマリア国境付近は、太陽高度が4度と大変低いのですが5秒程度の中心食が見られます。クレーターの影響で皆既帯でありながら僅かにクレーターの谷間から太陽の光が漏れ出し、全周に渡ってベイリービーズが見られるかも知れません。この場所の皆既帯の幅は、約5km程度です。

2023年4月20日の金環皆既日食も、洋上以外は全て皆既日食が見られます。2031年11月14日の金環皆既日食は、金環帯がパナマで見られるだけです。観測できる望みは薄くなりますが、2049年11月25日の金環皆既日食が唯一遷移点で見られる日食だと言えます。

2049年11月25日の金環皆既日食経路地図・・・青い線が金環皆既遷移帯

この図では、0.3sと描かれた箇所が遷移点のある金環皆既日食帯です。但し海上のため、以下の衛星写真にあるように5.0sで観測するシュミレーションをします。

2049年11月25日の金環皆既日食経路地図〔5.0s付近を拡大〕・・・青い線が金環皆既遷移帯

中心食の継続時間が5.0sでも、遷移点の幅は青い線を中心とすると僅か3kmしかありません。砂州の海岸側で観測するのがベストでしょう。

月にはギザギザのクレーターが無数にあります。クレーターの影響を考慮すると、太陽と月が重なってもクレーターの谷間から太陽の光が漏れてしまいます。

右の写真は、2002.12.4に豪州リンドハーストで撮影したものです。第二接触と第三接触のダイヤモンドリングを合成した写真です。僅か5秒の継続時間でも、このような全周に渡ってベイリービーズが見られる中心食が見られるに過ぎません。

これは1/1000秒で撮影した写真です。実際に目で見るとコロナがうっすらと見えたのも束の間、すぐにダイヤモンドリングが始まります。
これが金環皆既日食の全貌です。まるで全周ベイリービーズのような日食です。こんな日食を、一生に一度は見てみたいものですね。

全周彩層の皆既日食・・・2002年12月4日に撮影(24秒の皆既日食)

2049年11月25日の金環皆既日食は、NASAの資料からGPSで場所を割り出しました。20年以上先の日食はΔT(太陽と月の日周運動に対する運動量の割合)がかなり変化することが見込まれるので、正しい場所ではなくなるかも知れません。
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