東北電力ねぶた愛好会・ねぶた師 穐元 和生


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一の谷の合戦
合戦の一番乗りの功名を果たした熊谷直実は敵を探していると、馬に乗って海に入り、沖の船へ逃れようとする平氏の武者を見つけて「返せ、返せ」と呼びかけた。武者はこれに応じて、陸へ引きかえして直実と組むが、勇士の直実にはとても敵わず、組み伏せられた。
直実は首を取ろうとするが、武者の顔を見ると薄化粧をした美しい顔立ちの少年だった。武者は清盛の弟経盛の子敦盛16歳と名乗った(『源平盛衰記』による。『平家物語』では名乗らない)。直実の息子直家も同じ16歳で、憐れに思い逃そうとするが、他の源氏の武者が迫っており、とうてい逃れることはできまいと泣く泣く敦盛を討ち取った。
直実は武家の無情を悟り、後に出家して高野山に登った。『平家物語』の名場面である。史実でも直実は敦盛を高野山で供養し、その後出家して法然に仕えている。