揚琴(Yang Chin)〔日本語で”ようきん”と言う〕は、洋琴、蝴蝶琴とも言い、中国民族楽器の中で最も広い世界性を持つ打弦楽器である。
類似楽器はヨーロッパの英語圏ではdulcimer&psaltery、東ヨーロッパではツインバロム(cimbalom)、ドイツ及び周辺の国ではhackbrett、南アジアと西アジアではsaunter、中央アジアと中国新彊地区ではchangと呼ばれ、それぞれが明確な民族性を持っている。 現代の揚琴は梨の木から作った台形の木に144琴線が140本あまり張ってあり、先端にゴムを巻いた細い2本の竹の撥でたたくことにより発音する。
その音域はG~a3までの合計4オクターブ以上の音で、十二平均律位から配列されている。中国民族楽器の中では、ピアノのようなマルチな役割を果たす大変重要な楽器である。
揚琴の類似楽器は非常に歴史が古く多種多様で、世界の広範囲の国々に広がっている。中国揚琴はヨーロッパのダルシマー(dulcimer)にその起源があるとされ、中国に伝わったのは十七世紀頃、明時代(1368年~1644年)の後期である。最初は「洋琴」、「打琴」、「蝶々琴」などと呼ばれていたが、現在では揚琴(yangchin)と呼ぶように統一された。この読み方は中国周辺国にまで影響をおよぼしたと見られ、朝鮮ではyanggum、モンゴルではyoochin、日本では洋琴(ようきん)、タイではkimと呼ばれている。.