ヘピーキ(英:repinique)とは、主にブラジル・リオのサンバカーニバルのバゴーチで演奏される打楽器である。
種別的には膜鳴楽器に分類される。リズム上はドラムセットのバスドラムに相当。筒状の大太鼓で、上下に皮革やナイロン、ナパといわれる合成皮革(この「膜」はヘッドと総称する)が使われる。これをタラバルチ(ストラップ)で肩から吊るして演奏する。
大きさは直径は10~12インチ、胴の深さは30cmの片面太鼓。
奏法はタンタンに良く似ているが、スリングを使用しないことが多いので楽器を片手で抱えるか楽器の中に手を入れて支え、もう片方の手でヘッドを叩く。タンタンと違う点は、指を使い細かい装飾音を入れたりする。
元々はスルドと呼ばれていた楽器であるが、現在はサンバでテンポを打つ楽器をヘピーキと呼称している。

リオをはじめとするブラジルの各都市で行われるカルナヴァルでは、毎年、Escola de Samba(エスコーラ・ジ・サンバ(略してエスコーラ)というチーム単位で順位、優勝を競い合う。
各エスコーラは、カルナヴァルが終るとすぐに翌年のテーマ(エンヘード=物語)を決め、それに添ってシノープス(台本)が作られ、曲や歌詞の作成を行い、どの曲が相応しいかエスコーラ内でコンテストして、それが決定するとカルナヴァレスコ(パレードの総合監督、舞台監督のような人やチーム)によってアーラ(グループダンス)やアレゴリア(山車)の数を決め、それらのファンタジア(衣装)などをデザインする。
曲が決定すると、クアドラという練習会場で、Bateria(バテリーア、日本ではバテリアとも)という打楽器隊によって練習が繰り返され、そこでダンスも練習する。 ブラジルの地図

なおエスコーラ・ジ・サンバとは、直訳でサンバの学校という意味だが、学校の近くで始めたことから、洒落でつけられたもの。指導者は存在するが、先生や生徒が存在するわけではなく、先生が生徒に教えるという性格の学校や教室などとは異なる。どちらかというと地域に根ざしたリクリエーション団体の性格が強い。従って近年ではGrêmio Recreativo Escola de Samba(グレーミオ・ヘクヘアーチヴォ・エスコーラ・ジ・サンバ(略称:G.R.E.S.)という。
ただし、近年のカーニバルはあまりにも観光的・商業的になり、またエスコーラが麻薬や賭博など犯罪組織の温床ともなっていることなどから、エスコーラから離れたり、また距離をおくサンバのミュージシャンも多い。そのような昔のサンバを知る人は「昔のサンバはよかった」というのが口癖となっている。またそれらの人々はエスコーラなどの組織を離れて、それより比較的自由なブロコ・カルナヴァレスコ(略称:B.C.ブロコはブロック、つまり塊りの意、カルナヴァレスコはカーニバルが好きな人などと訳す)を結成したり移る人もいる。ブロコはエスコーラのようなコンテストとは無縁なのでサンボードロモではパレードせず、リオ・ブランコ通りなど街中でパレードし、比較的庶民的で地元と密着しているのが特徴的である。しかしブロコといっても人数的にはエスコーラのように数千人規模のものもあり、またモノブロコやシンパチアといった有名なブロコには外国人の参加も多い。
パゴーヂ
上記のように、年一度に行われるカルナヴァルに対し、日常において歌われるサンバをRoda de Samba(ホーダ・ジ・サンバ)、Pagode(パゴーヂ、パゴージ)という。昔はパゴージをホーダ・ジ・サンバといっていたが、1980年代に白人女性であるベッチ・カルヴァーリョが活躍し、カシーキ・ジ・ハモスというブロコ兼サンバ・コミュニティーで主となって活動するバンド、フンド・ジ・キンタウを自身のアルバムで紹介したことからパゴージと呼ばれることになった。語源は明らかではないが インドのサンスクリット語で寺院・仏塔を意味するPagoda(パゴダ)と言われている。