ティモール島とその周辺地域では、オウギヤシが多数自生しています。ヤシの実ですから、様々な用途に使われています。その葉が、伝統楽器ササンドの共鳴器を作るのにも使われます。
ササンドには、竹の胴に木でできた頭と足が付いています。古いササンドは10弦で、頭から足へ弦を張り、両端を留め具で留めています。頭の留め具は回転して、弦を張る強さを変えてチューニングできるようになっています。この発音体が、オウギヤシの葉でできた半球状の共鳴器の中に置かれます。ササンドは、大体50cmくらいの大きさです。
ササンドの調弦で、ロテ島の人々が使うものは、西洋音階で言えばド-ミ-ファ-ソ-シ-ドに近いものです。一方、サブ島のササンドの音階は同じくド-レ-ミ-ソ-ラ-ドです。
ササンドの音楽は、ティモールの社会で、出産祝い、結婚式、葬式とあらゆる行事において用いられます。その場のシチュエーションによって曲調も自由に変えられます。