
ヴィブラフォンは、ヴァイブラフォンないし略してヴァイブともいい、鉄琴の一種の打楽器である。
通常の鉄琴や木琴と同様、ピアノの鍵盤の順番に並べて置かれた音板をばち(マレット)で叩いて音を出す。普通用いられる鉄琴よりも大きく低い音の出る音板が用いられ、マリンバ同様の音板の下に共鳴管を並べる。共鳴管の上端に丸いはねを設置し、このはねを電気モーターによって回転させる。はねが回転しながら管の上端を閉じたり開いたりすることによって、振動の共鳴管への伝わり方が増減する。それによって共鳴管の共鳴量が変化し、音量が増減を繰り返す。それによって音のふるえ(ヴィブラート)を起こすのである。楽器の名称はここから来ている。
はねの回転の速度は変化させることができ、また、停止して演奏することもある。 音の余韻をコントロールするダンパーペダルによってロングトーンを演奏する事が可能で、マリンバや木琴と大きく異なる機能である。ヴィブラフォンがVibraphoneと呼ばれるのは、このロングトーンによる残響・共振(ヴァイブレーション)に起因するとも言われている。 ダンパーペダルを踏むと装置が離れ、離すと装置が音板に触れ、残響を止めるのである。
音色の変化ははねの回転速度の他に、マレットの材質(特に堅さ)や大きさ、叩く位置などによって得られる。はねの回転速度を遅くし大きめでややソフトなヘッドを持つマレットと、ハーフダンプリングを多用したミルト・ジャクソンの奏法などが知られる。
1940年代からジャズミュージシャンが中心となってヴィブラフォンの奏法開拓と普及に貢献しているが、近年になってクラシックのマリンバ奏者もヴィブラフォンをメイン・インストルメンツとして演奏の中で使うようになった。