前回は、3DやVRによって家づくりが変わり始めている話を書いてきました。
ただ、この話をすると必ず出てくる疑問があります。
「3Dって、昔からあったのでは?」
その通りです。
3Dという技術自体は、かなり前から存在しています。
それでも長い間、現場では当たり前になりませんでした。
理由はいくつかあります。
まず一つは、とてもシンプルです。
かつての設計は、図面を正しく描くことが中心でした。
寸法が合っているか、構造的に成立しているか。
そこに評価軸がありました。
その中で3Dは、「わかりやすく見せるためのもの」でした。
なくても仕事は成立する。余裕があればやるもの。
その程度の位置づけです。
もう一つは、昔の3Dの投資価値です。
・価格が高い
・操作が難しい
・時間がかかる
・動作が重い
といったリアルなハードルがあり、それを乗り越えてまでやることか・・・といった判断も確実にあったと思います。
そして、もう一つ・・・これはあまり表に出てこない理由です。
「普及させたくない理由もあった」
3Dで空間を見せると、お客さんは必ず反応します。
「ここ、もう少し広くできませんか」
「この配置、変えたほうがいいかも」
これまで図面では見えなかったことが、見えてしまう。
それはつまり、「せっかく描いた図面を変えなければならない」ということを誘発します。
設計には意図があります。
でも3Dで見せると、誰でも意見が言えるようになる。
それが、「一緒に考える」になることもあれば、「口出しされている」と感じることもある。
さらに現実的な話もあります。
注文住宅といっても、完全に自由ではなく、ある程度決められた仕様の中で選ぶことが多い。
その中で細かく見せてしまうと、「ここも変えたい」「これも違う」という話になる。
対応できない部分も多い中で、「最初から見せないほうが楽」という判断になることもあります。
そしてもう一つ。
3Dのデータを渡すことで、「そのまま他の会社に持っていかれるのではないか」という不安もあります。
つまり、3Dが普及しなかった理由は技術や金額だけではなく、
・手間が増える
・コントロールが難しくなる
・ビジネス上のリスクがある
といった、「人と仕組みの問題」でもあったということです。
ただ、ここで重要なのは、それでも今「状況は変わり始めている」ということです。
お客さん側が、「ちゃんと理解して決めたい」「損をしたくない」と思うようになっている。
そして、比較される時代になっている。
見せないことで守れていたものが、逆に選ばれない理由になり始めている。
さらに、技術的なハードルも下がりました。
操作はシンプルになり、誰でも扱えるようになってきた。
そして何より、“使う意味”が明確になった。
「ズレをなくすため」
「納得して決めるため」
「無駄を減らすため」
振り返ると、技術がなかったから普及しなかったのではなく、必要とされていなかったし、あえて広げなかった側面もあったのかもしれません。
今は、違います。
家づくりの前提そのものが変わり、3DやVRによる「見える化」は、
「なくてもいいもの」ではなくなったと思います。
次は、
3Dが当たり前になったとき、何が変わるのかをもう少し具体的に示せれば・・・
