昨日の日経新聞で、2013年を目処に、韓国のサムソン電子が日本の薄型テレビ市場に再び参入する方針を固めたと報じられました。
サムソンと言えば、日本では、最近のスマートフォン(高機能携帯電話)の「ギャラクシー」シリーズのヒットで知れ渡ってきた韓国の会社というのが、大半の日本人の認識かもしれません。
でも実際は、薄型テレビの世界市場では2割近くの市場占有率を誇る業界のリーダーです。5年連続首位です。日本ではソニー、パナソニック、シャープが強いものの、日本企業は世界市場では、2位のLG(市場占有率13.1%)の後を追う3位のソニー(市場占有率10.3%)が最高です。
自動車、家電といえば、日本企業が強いとされてきましたが、最近は、トヨタ、ソニー、パナソニックの元気が無い、という記事が目立ちます。実際、世界での販売台数のランキングが下がった、収益が悪化し赤字に転落した、などと業績が良くありません。その中で、今回のサムソンの日本再参入の報道があったわけです。
サムソンが前回、日本市場に参入を試みた頃(2001年~2003年)はちょうど、日本の家電メーカーでグローバルWeb に取り組んでいました。これは一言で言えば、「Webサイトのグローバル化」でした。この取り組みにあたり、業界を問わずグローバル企業と思った会社のWebサイトを片っ端から調査・分析し、ベンチマーキングを行って、あるべき姿とそれを実現させるための施策案を描きました。
その際、日本企業をベンチマークしていられないことを痛感。結局、2002年1月に第1の答申をした際は欧米のグローバル企業をベンチマークし、そして2002年の年末にはサムソンもベンチマーク企業に追加しました。
しかしあの頃はブルーレイ含むDVDレコーダーや薄型テレビ事業が順調だったこともありますが、経営層の興味はもっぱら日本企業で、海外勢にはほとんど目をくれませんでした。競合他社のS社のことのみ聞かれました。私同様に、何らかのグローバル化を図る仕事に従事していた人とは、「これからはサムソンだろう」と話をしていました。
あれからあらゆる面で状況が様変わりした今、今回の報道があったわけです。
日本についての英語のブログ記事の最後の「筆者の所感」にも書きましたが、今回の件は、日本企業に“井の中の蛙”から脱却し、戦略・ビジネスモデルから製品・マーケティングまで全てを根本的に見直す必要性の警告のように思えてなりません。これは、日本市場の確保はもちろん、世界市場である一定の地位を確保し、今日のグローバル経済の中で生き残っていくための試練でしょう。
Samsung to Re-Enter Japan Flat Panel TV Market