テレビ局の人事異動

６月は全国的に定期人事異動を実施する企業が多い。

２週間前の内示を経て、７月１日というスケジュールが大半だ。

弊社も同様に、上記スケジュールで行われる予定で、

内示を前に、他の社員の異動を予想したりするなど、

社員全員が”人事部長”と化す。毎年の光景だ。

テレビ局は全般的に総合職として採用するため、

新聞社のように専門職種別には行われない。

報道記者、ディレクターなど報道制作部門に配置されたとしても、

会社側はジェネラリストを育成する観点から、

定期的に異動するのが常である。

現下の人事方針に沿えば、職員は様々な部門で様々な経験と知識を得るため、

社全体に放送全般に通じたジェネラリストが育成される土壌があるものの、

専門性の高い報道記者をはじめ、ディレクター、プロデューサーなどが

育ちにくいという弊害があるのも事実である。

テレビ局の人事異動の実態を知らずに入社してしまうと、

希望に沿わず、また、予想もしない配属を強いられることもある。

特に、地方局は組織規模が東京キー局に比較して、人員が少ないことから、

ある職員が一定の部署に長く配属されると組織のマンネリ化を招く

問題が生じることも多々ある。

一方で、このようなローテーション人事の弊害も少なくはない。

高い専門性が求めらる記者、番組ディレクターなどは数年で一人前に育つケースは少ない。

スキルと経験を兼ね備えた人材こそが、

質が高く、視聴者のニーズに応えた番組の制作に貢献できるのである。

人材を育成するうえで、テレビ局も大きな決断の前に立たされている。

一喜一憂の人事異動。

どうなることか。ケセラセラ！！

尊敬するデスクの思い出

入社2年目になったばかりのころ、

地元暴力団が住宅街に事務所移転をする計画が浮上しているネタを突き止めた。

”囲み”と呼ばれる100行程度の原稿を署名記事で出稿した。

当然、”裏取り”と呼ばれる事実確認を済ませた後、

移転先の住民の声、自治会などの反応を

綿密に取材し、原稿を認めた。

本版と呼ばれる社会面ではなく、地方版に掲載されたのだが、

当時、暴力団による企業対象暴力の被害が多発していただけに、

その記事は大きな反響を呼んだ。

掲載してから1週間程度、突然、

勤務していた支局に暴力団関係者とわかる威圧感のある中年2人が

訪れた。支局には私と、7年目の県政を担当する記者、

次席と呼ばれるデスク、定年を過ぎて特別職として

働いていたカメラマン、そして、記事入力をする女性パンチャーら5人がいた。

「この記事を書いた記者に用がある」といきなり響き渡る声をあげた。

応対したデスクは、怖がる様子もなく、

「話をうかがいましょう」と支局入り口近くの応接へと2人を誘導した。

訪問の趣旨は、暴力団事務所移転に関する記事に事実誤認があるとして、

執筆した記者である私から取材経緯の説明と謝罪を求めていたようだった。

2人がソファーに座るや否や、

デスクは「あの原稿は記者から私に出された段階で責任は私にある」と

担当記者への面会をぴしゃりと拒否した。

机で知らぬ顔で事態の様子をうかがっていた私は、

デスクがあのような2人に厳しく詰められている様子に

耐えられず、私は応接の方に向かおうとした。

しかし、先輩記者が私の腕をつかみ制止した。すると、

デスクが「担当の記者は取材に外に出ております。お話は以上です」と

要求を完全に遮り、2人を支局から退散させた。

この間、わずか15分程度、デスクの対応は素晴らしかった。

何より、日頃、腹立たしさすら感じるほどの暴力的な言葉遣いで厳しく指導するデスクに、

時として、落ち込むこともあった。「俺はデスクに嫌われているのか」などと、

悲観的に考えることもあった。

だが、担当記者である私を同席させなかったのは、

上司として私を守るためであったことは間違いない。

デスクへの誤解だった。

デスクの厳しい言葉の裏にも、部下である私への愛情が存在していたことに気付いた。

部下の責任も取れずに自己保身に走る上司が多いこのサラリーマン社会の中で、

デスクへの味方が変わったと同時に、強い信頼感が芽生えたのは言うまでもない。

デスクは現在、実家のある大阪に帰られて、

定年後のゆったりとしたひと時を過ごされているという。

忘れることができないデスクだった。

旧来の友との会食

　私が勤務する会社を辞めて独立した女性アナウンサーの知人に

5年ぶりに会った。

　元気そうな様子で当時の若さと美しさは変わらない。

局アナの地位を簡単に捨てて、フランス料理の専門学校に入学した。

調理師になるのではなく、

フランス料理に関するコンサルティングを目指しているらしい。

一度、決断した女性の意志は固く、

決定から行動までがスピーディーである。

彼女の行動から推察すれば、

やはり、自らの力でビジネスを開拓する能力と素質が

高いのかもしれない。

”寄らば大樹”でここまで辿ってきた私と違い、

強さと逞しさを兼ね備えている。

「卒業と同時にビジネスのスキームを構築したい」と意欲的に話す。

彼女のひたむきな姿勢に学ぶものを感じた。

日常の業務に忙殺され仕事を楽しむ、

仕事から学ぶという姿勢をいつしか、

私は忘れていたのではと、

ある意味、焦燥に駆られたのは事実だ。

おいしい料理とワイン、そして、彼女との再会に、

久しぶりに啓発されたようだ。

社長との懇親

おはようございます！

昨夜は知人の社長と久しぶりに会食し、ゆっくりと酒を飲み交わしました。

4年前に起業し、従業員1人から今や20人を抱え、

売り上げも2億円を超えるほどの成長を見せました。見事です。

艱難辛苦を乗り越えた結果、今の成功を導き出しただけに、

彼の表情や態度からは、さわやかな自信さえもうかがえる。

私より2歳ほど若いのであるが、社長を前にすると多少、気おくれする。

つい、自分と比べてしまう。

日々の努力が明日を創るというものではある。

残された、与えられた時間を大切に向き合うことを、

肝に銘じなければならない。

頑張りましょう！！

即時、検挙だろう！

週末のお約束であるウォーキングをしていて、

総理官邸の裏側にあたる溜池山王付近で、

元気の良い右翼の皆さんが街宣をしているのを見かけた。

野次馬根性の塊である私は、現場近くまで急行し事態を見守った。

先日の菅総理辞任発言を受けての混乱について抗議をしているようで、

街宣車からドスを聞かせた声を拡声器で響かせていた。

周辺の人たちは堪ったものではないという表情でやり過ごしていた。

公安と機動隊のお巡りさんたちは、総理官邸への道路をきっちりとガードし、

侵入を防ぐのに必死の様子だった。

あれだけの音量でアジ演説しているのなら、

騒音防止条例を適用して検挙も可能だと思うのだが、

お巡りさんたちは、一向に警告すらしない。

そこに、街宣車数台が一方通行を無視して、

総理官邸へとつながる道路に侵入しようとした。

私は、道路交通法違反で検挙するのかと思ったのだが、

現場に30人ほど警察官がいたが、

誰一人として、検挙に向かう様子はなかった。

私は頭にきた。

善良な市民でさえ単なる勘違いで道路交通法に違反するケースがある。

その大半は、法の知識の欠如からであり、犯意をもって犯しているのはない。

法を破った以上は責任を負わなければならないという意識があるからこそ、

善良な市民は切符を切られても素直に罰金を国庫に納める。

恣意的な判断による検挙ではなく、

眼前で行われた犯罪なら即時に検挙するのが、

警察官の仕事であり使命でもある。相手が右翼であろうが、

毅然とした態度で検挙に望むべきだろう。

「検挙にまさる防犯はなし」。

仲の良い刑事がよく話していたフレーズが思い出される。

現場の警察官は忘れてしまったのか。

久しぶりに腹の立つ現場を目の当たりにした。