尊敬するデスクの思い出 | 目指せ!マスコミ就職 メディアへGO!

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入社2年目になったばかりのころ、


地元暴力団が住宅街に事務所移転をする計画が浮上しているネタを突き止めた。


”囲み”と呼ばれる100行程度の原稿を署名記事で出稿した。



当然、”裏取り”と呼ばれる事実確認を済ませた後、


移転先の住民の声、自治会などの反応を


綿密に取材し、原稿を認めた。



本版と呼ばれる社会面ではなく、地方版に掲載されたのだが、


当時、暴力団による企業対象暴力の被害が多発していただけに、


その記事は大きな反響を呼んだ。



掲載してから1週間程度、突然、


勤務していた支局に暴力団関係者とわかる威圧感のある中年2人が


訪れた。支局には私と、7年目の県政を担当する記者、


次席と呼ばれるデスク、定年を過ぎて特別職として


働いていたカメラマン、そして、記事入力をする女性パンチャーら5人がいた。




「この記事を書いた記者に用がある」といきなり響き渡る声をあげた。


応対したデスクは、怖がる様子もなく、


「話をうかがいましょう」と支局入り口近くの応接へと2人を誘導した。



訪問の趣旨は、暴力団事務所移転に関する記事に事実誤認があるとして、


執筆した記者である私から取材経緯の説明と謝罪を求めていたようだった。


2人がソファーに座るや否や、


デスクは「あの原稿は記者から私に出された段階で責任は私にある」と


担当記者への面会をぴしゃりと拒否した。




机で知らぬ顔で事態の様子をうかがっていた私は、


デスクがあのような2人に厳しく詰められている様子に


耐えられず、私は応接の方に向かおうとした。


しかし、先輩記者が私の腕をつかみ制止した。すると、


デスクが「担当の記者は取材に外に出ております。お話は以上です」と


要求を完全に遮り、2人を支局から退散させた。


この間、わずか15分程度、デスクの対応は素晴らしかった。




何より、日頃、腹立たしさすら感じるほどの暴力的な言葉遣いで厳しく指導するデスクに、


時として、落ち込むこともあった。「俺はデスクに嫌われているのか」などと、


悲観的に考えることもあった。


だが、担当記者である私を同席させなかったのは、


上司として私を守るためであったことは間違いない。


デスクへの誤解だった。




デスクの厳しい言葉の裏にも、部下である私への愛情が存在していたことに気付いた。


部下の責任も取れずに自己保身に走る上司が多いこのサラリーマン社会の中で、


デスクへの味方が変わったと同時に、強い信頼感が芽生えたのは言うまでもない。




デスクは現在、実家のある大阪に帰られて、


定年後のゆったりとしたひと時を過ごされているという。




忘れることができないデスクだった。