アオバズク父さん、試練を超えて… | キラピチ生き物日記

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君たちの瞳のキラキラに みんなが気づけばいいな
気づいた人はその分 きっと幸せになれると思うんだ


毎年、初夏になると京都御苑では、子育てのために
南国から渡ってきたアオバズクの番いたちが営巣を始めますクローバー

ところが7月上旬・・・苑内の北東の一角に営巣していた
アオバズク一家を悲劇が襲いました。

アオバズクお母さんが4週間近くも巣の中で卵を温め続けたおかげで
3羽の雛がめでたく孵化し、少し衰弱したお母さんが
やっと巣の外へ出て来てまもなくの出来事です。

同じ地域を縄張りとするオオタカがお母さんを連れ去ってしまったのです。
食痕が発見され、起きてしまった事が確認されたそうです・・・。

後に残されたアオバズクお父さんと幼い雛たち・・・。

しかしお父さんには凹んでいる暇はありませんでした。
毎晩、毎晩、せっせと沢山の餌を集めてきては、
子供たちを男手ひとつで育て上げました!

7月下旬、三羽の子供たちが巣の外に現れ、立派な姿を見せてくれましたクローバー
もういつ巣立ってもおかしくない段階です!( 下写真は2日ほど前に撮影 )
少し高い位置から見守るお父さん。




左の子は盛んに首回しをして遊んでいましたクローバー 
本当によく回る首だねー。フクロウに生まれて来て良かったネ音譜



雛たちは高い高い樹の上から
好奇心に満ちた大きな目で下界をのぞきこみます。




鳥見おじさまたち待望のエンゼルポーズ。 ボケ & 枝かぶりガーン



こちらは前日に撮ったものですが大あくびのシーン音譜
エンゼルポーズはカッコ良いですが、雛らしさが感じられるあくびシーンが好きニコニコ



こちらの写真は真ん中の子が見える位置から撮ったもの。
真ん中が巣穴から最後に出てきたばかりの子らしいです。
この末っ子ちゃん(?)が三兄弟の中で一番活発なんだとかニコニコ




野鳥の中には兄弟どうしの競争が激しいものも少なくないようです。

例えばイヌワシ属の猛禽の多くは、先に孵化していた雛が
後に孵化してきた兄弟を食べてしまうケースが多いそうです青スジ
「兄弟間闘争」と呼ばれているとか・・・。

猛禽以外の他の野鳥の場合も、後に生まれたチビちゃんは
餌になかなかありつけず衰弱していくことも少なくないようです・・・しょぼん

そんな厳しい自然界の中ですが
この一家がそうであるように、今まで出会ったアオバズク一家では
末っ子も大切にされているようですネニコニコ



三兄弟は時々、いっせいに同じ方向を真ん丸の目で凝視します。
人間に見えないもの、聞こえないものを既に察知しているようです。



こちらは子育て中のアオバズクがカミキリムシを雛に与えた食痕です。
( 最近、別のアオバズク営巣地で見つけたもの )
親アオバズクは獲物の固い部分を取り除くという
「調理」を施してから餌を雛たちに与えます。



↓コチラは去年の記事に掲載した食痕です。
( お友達に手伝っていただき、他の営巣地で集めたもの )

自作したアオバズク食痕の標本


これらの食痕は親鳥による雛たちのための調理のあとです。

伴侶を失ったアオバズクお父さんが、ものすごい数の獲物を、
毎晩、一つ一つ、丁寧に「調理」しては雛たちに与え
三羽を育て上げたと思うと・・・ただただ頭が下がります。

京都御苑では一昨年も抱卵を終えたメスちゃんがオオタカに襲われ亡くなりました;

今年被害に遭ったこの一家の営巣場所のすぐ近くの地面に
大量のカラスの羽が散乱しているのを去年ごろワタシも見かけました。
あのカラスを捕食したのもオオタカに違いありません。
カラスは猛禽とは呼ばれませんが、強く、アオバズクより大きいです。
そのカラスをさえ捕食してしまう強い天敵オオタカ・・・。

まさか冬に見たこの子が・・・?!



本ブログでは、個人のブログが生き物の生息地に与える影響を考慮して
普段は撮影場所の詳細を掲載していません。
が・・・このスポットは既に有名ですし、見物人が常駐してくれるくらいの方が
かえってアオバズクが襲われにくくなるのでは?
・・・なんて思えたりもしたので、今回はあえて撮影場所を掲載しました!

遠い南の国からはるばる来日し、雛たちを残して命を落としたお母さん。
伴侶を失いつつも三兄弟を立派に育て上げたお父さん・・・。
二人とも本当にお疲れ様ドキドキ

残された一家の未来に幸あれ!クローバーキラキラ