Aloha!
BABYMETALさんの新譜のPVがYouTubeにてリリースされて10日間、早くも1週間を超えたわけですが。
※もしもこの記事をお読みいただくとしたら、参考にぜひ視聴してください。ヘッドフォン推奨。
ネットに於いては結構絶賛の声があるようなんですけど、実際のところってどうなんでしょうね?
個人的な意見ではあるのですが、楽曲そのものは結構好きです。その反面若干滑ってない?と思わなくもない部分もあるのです。
ちなみにYouTubeにてPVが流されてから10日間で再生回数は264万回。
僕が以前絶賛した『RATATATA』は10ヶ月で既に再生回数は4,120万回と文字通りのスマッシュヒットとなっており、このYouTubeの再生回数だけを見てもBABYMETALさんの他の楽曲群よりもはるかに群を抜いた再生数を更新し続けていますよね。
「アレと比べるのは酷」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
けど、一応アメリカにBABYMETAL専用の法人をブランチアウトさせて、アメリカのレコード会社とも契約を結んでの初めてのシングルカットだということを踏まえると、どうしたってRATATATAを超えて来ないとなぁっていうのが正直な感想です。
楽曲の構成の諸々はRATATATAよりも遥かに練られていてそれは楽曲制作チームとしては非常に良くやったとも言えるわけです。
From me to Uが頑張ってるな(謎の上から目線)と思えるのは楽曲の構成の面で、それは次の点でした。
冒頭の『Let's go』はUnikittyのオープニングを想起させる
歌詞のほとんどが英語であり、その仕上がりはとても自然
楽曲中ではハーフタイムフィールやキーチェンジを駆使
ギターソロが単なるシュレッドではなくアーミングを駆使
これらは『アメリカへ打って出る』を考えた場合非常によく練られていると僕には見えていて、今現在のアメリカの10代後半の子達にとって、子供の頃にテレビで観たUnikittyのテーマというのはとても深く印章に残っている筈なんです。
オープニングの『Let's GO!』はそのオマージュとして活かされている可能性を感じますよね。
そして歌唱の大半が英語であるのは聴いてわかるんですが、これまでのBABYMETALさんと比べるとその歌詞や、そこで歌われる歌唱というのは非常に自然です。いい意味で日本人が歌っている感じではない。
最後の方(MVの3分3秒)で聴けるMOAMETALさんと思われる歌唱パートのみが『日本人っぽい部分』として聴ける以外は、概ねネイティヴっぽい発音や歌い回しになっている。
また楽曲中にブレイクダウンがあり、そこからの半テンポと転調という味付けはなかなかに見事で、コレもヒップホップやEDM主体の米国マーケットの中では珍しく言わんや古き良きアメリカのAORに影響された日本のシティポップのような音楽的深みや広がりをイメージさせます。
また久しぶりにギターソロが聴ける楽曲である共に、そのフレーズはフロイドローズ系のユニットの付いたギターでしか弾けないものであることもBABYMETALさんの楽曲としては珍しいわけですね。
かつて『東の神』とされるバックバンドにおいてこのようなスタイルで弾けたのは他でもない故、藤岡幹大さんだけだったのであり、コレをライブでやるならやはりワーミーペダルではなく、ギターに載ったアーミングユニットで出来なければなりません。
その点『西の神』のギタリストはそうした奏法にも長けていますのでBABYMETALの楽曲を演奏するに相応しいかどうかをアレンジ面から判断するなら益々『東の神』からは乖離したかなぁという印章を受けます。
では、実際の所どこがどう滑っているのか?
ココを指摘する人は今のところ居ないわけです。
その辺りを今回は『3行革命』よろしくサクッと(サクっとではない)
SU-METALの歌唱スタイルの違和感
From me to Uという楽曲はfeaturing POPPYという事なんですが、実はこのPOPPYさんの歌唱スタイルの特徴って、1つの楽曲中でフワッとした甘い歌声からデスヴォイスとスクリーミングへとガラリと使い分けるというものなんですよね。
そして実は今回のSU-METALの歌唱パートの唱法って、POPPYの発声法に極めて近い。
今回の楽曲で『あれ?いつものSU-METALの歌唱スタイルとちょっと違くない?』と思った方は少なくないと思いますが、それってPOPPYの楽曲を聴くと判ります。
今回のSU-METALの歌唱スタイルはPOPPYと非常によく似ている。おそらくコレは意図的に寄せているとしか僕には思えない。
そして途中途中に挟まれるカタコトの日本語パートの歌唱を日本人であるSU-METALさんがやる、というのはBABYMETAL史上初の出来事なわけですよね。
コレはアメリカのレコード会社からのディレクションとしてそういう方向性への指示があったと見ることも出来ますし逆に『J-POP』というものの中によくある手法として日本語の歌詞の中に英語(日本的発音)が散りばめられるという手法の真逆を敢えてやっているという見方も出来ます。
僕はアメリカ人ですが元々日本のネイティヴですのでそういう視点で捉える事が出来るわけですが、元々英語のネイティヴであるアメリカ人がコレをどう捉えるのかは見ものではあります。多分僕のように捉えるアメリカ人は極めて少なく、同時にそこまで深読みされないことを思えばそうした思惑とは若干スベッていると言えるのかもしれない。
POPPYの持ち味を活かしていないのでは?
フィーチャリングというのはあくまでもフィーチャーする相手の持ち味を活かしてナンボだと思えるんですよね。有り体に言うならそこにケミストリーがあるか無いかと言う点で、この楽曲に果たしてそれがあるのか?と言われると僕には素直に首を縦に振れない印象がある。
POPPYの持ち味というのはフワッとした印象の甘い歌唱と激しいグロウルを活かしたデスボイス、スクリーミングパートの対比にあると僕は思っていて、この楽曲の中でPOPPYが担っているのがデスボイスパートだけというのが非常に解せないわけですね。
なんならフワッとした歌唱パートをSU-METALとPOPPYそれぞれが歌いわけをして(君に届け、とても厳しい、などのカタコト部分はPOPPY必須)デスボイスパートをPOPPYとMOMOMETALが歌い分けるなどの構成があった方が、はるかに良かったかもしれない。そう思いません?このMVを観ただけの人は『POPPYってデスボイスだけの人』としか思われない可能性すらあるわけじゃありませんか。
そこで持ち上がる1つの懸念。
そのように構成するとライブがキツい
僕はほとんどこれが正解だと思っているんですが、この楽曲はライブにおける再現性が極めて厳しいものの1つになっていた可能性が大いにあり、僕のいうようなBABYMETALさんとPOPPYの掛け合いのような構成を試みるとMOMOMETALがキツいってことになるわけですよ。
だってMOMOMETALはいついかなるライブの時でも全部口パクなわけですからね。
自前のライブ、生誕祭、フェス、ありとあらゆる場面でMOMOMETALは口パクしかやっていないわけです。
そんな経験値が低い段階でライブでは必ず生歌で勝負して来ているPOPPYと『デスボ合戦』みたいなことがライブに於いて出来るわけがない。
つまり現状のMOMOMETALを口パクで甘やかす体制によってFrom me to Uという楽曲が『神曲』となる可能性の芽を摘んでしまったとも言えるわけです。
SU-METALとPOPPYが交互に歌唱して、MOMOMETALがPOPPYとグロウル&スクリーミングボイスで応戦し合うような『From me to U』があったかもしれない世界線を。
ソレをライブで皆さんが観戦出来たかもしれないという未来を。
僕が以前から言ってた口パクやめなきゃ演者としての伸び代は無いですよってのはまさにコレなんですよ。
あ、いやソレだと菊地最愛さんの見せ場が無くなってしまうのか(笑)
MVでもカメラに抜かれるのはMOMOMETAL→MOAMETALという順番が固定されつつあるし(怒)
ま、いいや。
BABYMETALさんの口パク問題、ココはちゃんと伝わって欲しいなぁ、と思うこの頃です。
Mahalo!