「必要なのは海と川と湖、そして緩やかな坂道とその先に広がる丘。」
「雨の日には喫茶店へ。」
「必要なのはピクルス抜きのハンバーガーとコカ・コーラ。」
「BBQと瓶ビール。」
「必要なのは珈琲と煙草、午後の三時には紅茶とシフォンケーキ。」
「必要なのは健やかなベッドと恋人、愛し愛されたあとのピロートーク。」
「必要なのはよい酒とよい映画。」
「窓の向こうにムーミン、スナフキン。」
「ぶりきの玩具、真鍮の振り子時計。」
「芝の上にはサッカーボール。庭を眺める老人だとか、風に揺られる碁石だとか。」
「引き出しの中に眠る♠♡♦♧の妖精。」
「必要なのは知恵と知識。白衣とフラスコ、履き潰したリーバイスとコンバース。」
「必要なのはキャッシュカード。ブリオーニとシャネルの五番。」
「必要なのはぴかぴかになるまで磨き上げた硬貨と、働き者の美しい手。」
美しい決まり事、美しい組み合わせ。
型にはまった様式美の、その先はどこにあるのだろう。
『それはお葬式とロックンロールのような。』
「縁側で猫が鳴いている。」
